ZEBRA TECHNOLOGIES CORP
Zebra Technologies
Corporation ―
バーコードからRFID、マシンビジョン、ロボットまで展開する自動認識・FA技術企業
1.会社概要
**Zebra Technologies Corporation(ゼブラ・テクノロジーズ)**は、米国イリノイ州リンカーンシャーに本社を置く産業用IT・自動認識技術企業です。NASDAQに「ZBRA」のティッカーで上場しています。
現在のZebraは、単なる「バーコードプリンタメーカー」ではありません。バーコードスキャナ、業務用モバイルコンピュータ、RFIDリーダー、サーマルプリンタ、マシンビジョン、固定式産業用スキャナ、ソフトウェア、さらに自律移動ロボット(AMR)まで扱っています。製造、物流、倉庫、小売、医療など、現場で「モノや人がどこにあり、何をしているか」をデジタル化することが同社の大きな役割です。
2025年度の売上高は約54億ドル、従業員は約10,700人、57か国で事業を展開しています。また、研究開発費は2025年度に約5億9,300万ドルで、売上高の約11%に相当します。
Zebraの製品は、例えば工場で製造した製品にバーコードを貼り、そのバーコードを固定式スキャナで読み取り、RFIDで製品を追跡し、必要な情報をモバイル端末で作業員に表示する、といった一連の「現場の情報化」に利用できます。
2.歴史
Zebra Technologiesの起源は、1969年にEd Kaplan氏とGerhard(Gary)Cless氏によって設立された「Data Specialties」にあります。
当初は高速電気機械製品を扱う会社でしたが、その後、バーコードを利用した自動認識技術の分野へ進出します。
特に重要なのが、
- 1979年:ハンディ型レーザーバーコードスキャナ
- 1982年:バーコードプリンタ
- 1986年:オンデマンド式サーマルプリンタ
- 1986年:Zebra Technologiesへ社名変更
- 1997年:ウェアラブルコンピュータ
- 2004年:RFIDハンディ端末
- 2008年:モバイルRFID印刷
といった技術開発です。
つまりZebraは、かなり早い段階から「人間が目で確認して入力する」のではなく、機械でデータを読み取り、現場情報をコンピュータにつなぐ方向へ進んできた会社だといえます。
その後、Zebraは自社開発だけでなく、企業買収によって事業領域を大きく広げました。
特に大きな転機となったのが2014年のMotorola
Solutions Enterprise Businessの買収です。これによって、モバイルコンピュータ、データキャプチャ、特殊プリンタ、資産追跡などの製品群を大幅に拡大しました。
さらに、
- 2020年:Reflexis Systems
- 2021年:Adaptive Vision
- 2021年:Fetch Robotics
- 2021年:Antuit.ai
- 2022年:Matrox Imaging
- 2025年:Photoneo
などを取り込み、バーコード中心だった事業を、AI、画像処理、ロボット、FA、データ分析へ広げています。
3.主力製品
Zebraの製品群は非常に広いですが、FA・産業機器の観点から見ると、次の分野が重要です。
① バーコードプリンタ
Zebraを代表する製品です。
ラベル、バーコード、RFIDタグなどを印刷するサーマルプリンタを、デスクトップ型、モバイル型、産業用など幅広く展開しています。
特に産業用プリンタは、工場や物流センターなどで大量のラベルを連続印刷することを想定しており、24時間365日の運用を意識した設計となっています。
代表的なシリーズとして、
ZTシリーズ
があります。
例えばZT411は4インチ幅クラスの産業用プリンタで、203、300、600dpiの印刷解像度に対応し、最大356mm/sの印刷速度を持つモデルがあります。USB、RS-232、Ethernet、Bluetoothなどの通信インターフェースにも対応しています。
② バーコードスキャナ
1次元・2次元バーコードを読み取るスキャナです。
ハンディ型だけでなく、固定式、組込み用OEMモジュール、産業用スキャナなどがあります。
工場ではコンベヤ上を流れてくる製品を自動的に読み取り、製造番号やロット番号などを上位システムへ送る用途があります。
これはFAとの関係が非常に深い部分です。
③ RFID
ZebraはRFIDリーダー、アンテナ、RFIDプリンタ、タグなども展開しています。
バーコードは「見える位置にあるコードを読み取る」必要がありますが、RFIDでは電波を使ってタグ情報を読み取るため、物流や製造ラインで大量の物品を管理する場合に有効です。
Zebraではハンディ型RFIDリーダー、固定式リーダー、RFIDプリンタなどを展開しています。
④ モバイルコンピュータ
Motorola Solutionsの事業を引き継いだことで、Zebraは業務用ハンディターミナルの大手企業にもなりました。
倉庫作業員が端末を持って、
「製品をスキャンする」
↓
「在庫情報を確認する」
↓
「次の棚へ移動する」
といった作業を行えます。
一般消費者向けスマートフォンではなく、落下や粉じん、長時間使用などを考慮した業務用・堅牢型コンピュータである点が特徴です。
⑤ マシンビジョン
FA分野で特に注目したいのが、現在のZebraのマシンビジョン事業です。
Zebraは2021年にAdaptive
Visionを買収し、さらに2022年にはMatrox Imagingを買収しました。
Matrox Imagingは、画像処理ソフトウェア、SDK、スマートカメラ、3Dセンサ、ビジョンコントローラ、フレームグラバなどを持っていました。Zebraはこれを自社の産業用スキャナや画像処理製品と組み合わせ、FA分野を強化しています。
現在のZebraのマシンビジョンは、
- 外観検査
- 寸法検査
- 3D検査
- 部品認識
- ロボット誘導
- 製品追跡
- 半導体検査
- 食品・飲料検査
- 医薬品包装検査
などに利用されています。
⑥ 自律移動ロボット
さらに興味深いのがロボットです。
Zebraは2021年にFetch
Roboticsを買収しました。
Fetch Roboticsは、自律移動ロボット(AMR)を製造していた企業で、工場や物流センター内で部品・製品を自動搬送する技術を持っていました。
これによってZebraは、
「読む」→「認識する」→「判断する」→「運ぶ」
という、よりFAシステムに近い領域へ進出しました。
4.FAとの関係
Zebra TechnologiesをFA企業として見る場合、非常に面白い位置にいる会社です。
一般的なFAメーカーは、
- PLC
- サーボモータ
- インバータ
- センサ
- ロボット
- HMI
などを中心に工場設備そのものを制御します。
これに対してZebraは、製品や部品に付随する情報を取得する側に強みがあります。
例えば製造ラインを考えてみます。
部品がコンベヤを流れてくる
↓
Zebraの固定式スキャナがバーコードを読む
↓
製品情報をデータベースへ送る
↓
マシンビジョンで外観検査
↓
RFIDで製品の位置を追跡
↓
必要ならAMRが製品を搬送
↓
完成品にZebraのプリンタでラベルを発行
このように考えると、ZebraはFA設備と情報システムの間をつなぐ会社として見ることができます。
特に近年は、単なる自動認識から、AI・画像処理・ロボットによる自動化へ領域を拡大しています。
5.型番の見方
Zebra製品は非常に種類が多いため、中古品を扱う場合には型番確認が重要です。
例えば産業用プリンタでは、
ZT411
ZT421
などの型番があります。
ZT411とZT421は同じZT400系でも、最大印刷幅などが異なります。ZT411は最大約104mm、ZT421は最大約168mmの印刷幅に対応します。
また、同じ型番でも、
- 印刷解像度
- RFID対応
- Ethernet
- Wi-Fi
- Bluetooth
- カッター
- ピーラー
- リワインダー
- ライナーレス対応
などのオプションによって仕様が変わります。
したがって中古市場では、本体型番だけでなく、銘板・シリアル番号・オプション構成・通信インターフェースを確認することが重要です。
特にZebraのプリンタでは、消耗品であるプリントヘッド、プラテンローラー、リボン、センサ類などの状態も確認したいところです。
6.中古市場・保守部品でのポイント
Zebraは世界中の物流センター、工場、小売店舗などで使われているため、旧型機を含めて中古品の流通量が比較的多いメーカーです。
FA関連の中古市場では、**「本体が動くか」だけでなく「どの構成なのか」**が重要になります。
例えばプリンタの場合、
- 電源投入
- 液晶・操作パネル
- 印刷機構
- プリントヘッド
- プラテンローラー
- 用紙センサ
- リボンセンサ
- 通信ポート
- Ethernet通信
- USB通信
- オプション基板
- RFID機能
などを確認する必要があります。
特にサーマルプリンタは、機械的な駆動部分と電子制御部分の両方を持っています。長期間使用された機器では、ローラーの摩耗、ヘッドの劣化、センサの汚れ、ベルトやギヤなどの機械部品の劣化が故障原因となる可能性があります。
また、Zebraは製品世代が多く、同じように見えるプリンタでも通信仕様やオプション構成が違う場合があります。そのため、交換部品を探す際には「Zebra製」というだけでは不十分で、正確な型番・部品番号の確認が必要です。
7.まとめ
Zebra Technologiesは、もともとバーコードプリンタやバーコードスキャナを中心に成長した企業ですが、現在ではその事業領域を大きく拡大しています。
バーコード
↓
モバイルコンピュータ
↓
RFID
↓
固定式産業用スキャナ
↓
マシンビジョン
↓
AI
↓
AMR・ロボット
という方向へ発展していることが、同社を見るうえで重要です。
特にFAストレート・ジャーナルの観点では、Zebraは「PLCやサーボを作る典型的なFAメーカー」とは少し違います。むしろ、工場や物流現場で発生する「モノの情報」を取得し、それをAI・画像処理・RFID・ロボットにつなげていく企業と考えると分かりやすいでしょう。
そして近年のMatrox ImagingやFetch
Roboticsなどの買収を見ると、Zebraが目指している方向は、単なる「バーコードメーカー」ではなく、現場の認識・判断・搬送まで含めたインテリジェント・オートメーションにあることが分かります。
中古FA機器の視点から見ると、Zebra製品はプリンタ、スキャナ、RFID、産業用ビジョン、モバイル端末など多様な製品が存在し、型番・オプション・世代を正確に特定することが保守や中古販売のポイントになるメーカーです。
なお、Zebra Technologiesと日本の筆記具メーカー「ゼブラ株式会社」は完全に別会社です。日本のゼブラ株式会社は1897年創業の筆記具メーカーであり、Zebra Technologiesは1969年創業の米国企業です。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、ZEBRA
TECHNOLOGIES CORP製の製品・部品は約4,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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