DEUBLIN

 

DEUBLIN社の概要

DEUBLIN(デューブリン)社は、アメリカ・イリノイ州に本社を構える、世界的に著名な**ロータリーユニオン(回転継手)**の専業メーカーです。ロータリーユニオンとは、回転する機械部品に対して、蒸気・水・油・冷却液・空気などの流体や気体を安全かつ確実に供給・排出するための特殊な機構であり、製紙機械、工作機械、鋳造設備、プラスチック加工、エネルギー関連設備など、幅広い産業分野で欠かせないコンポーネントです。DEUBLIN1945年に設立されて以来、この分野でパイオニア的役割を果たしてきました。

同社の製品は、信頼性の高さ、耐久性、メンテナンス性の良さで世界的に知られており、「ロータリーユニオンといえばDEUBLIN」と言われるほど、業界の代名詞的存在として位置付けられています。現在では世界30か国以上に拠点を持ち、グローバルな販売・サポートネットワークを展開しています。


創業の背景と歴史

DEUBLIN社は、1945年にアメリカで創業しました。創業者のLuke DeublerDick Linnによる「Deubler + Linn」の頭文字を組み合わせたものが社名「DEUBLIN」の由来です。第二次世界大戦後の工業需要の高まりに伴い、回転機構を持つ生産設備や産業機械の増加が見込まれるなか、「流体を確実に回転体へ供給できる機構」へのニーズが急速に高まっていました。

当時、既存の回転継手は漏れやすく、寿命が短いなどの課題がありました。DEUBLINは革新的なシール技術やベアリング技術を組み合わせることで、従来よりも格段に性能の高いロータリーユニオンを開発し、急速に市場シェアを拡大しました。創業から80年近くが経過した現在でも、その基盤技術と革新精神は同社の核として受け継がれています。


主な製品と技術

DEUBLIN社の製品は、多様な流体・ガスを扱えるように設計され、以下のような分野で利用されています。

  1. 製紙産業向けロータリーユニオン
    製紙機械は乾燥シリンダーに蒸気を送り込むことで紙を乾燥させます。このシリンダーは高速で回転しているため、信頼性の高いロータリーユニオンが不可欠です。DEUBLINはこの分野で特に強い存在感を示しており、製紙業界標準として広く採用されています。
  2. 工作機械用ロータリーユニオン
    近年の工作機械では、切削工具の冷却・潤滑のために高圧クーラントを回転スピンドルに供給する必要があります。DEUBLINのユニオンは高圧・高回転に耐える構造で、CNCマシニングセンタや旋盤で広く利用されています。
  3. プラスチック・ゴム加工分野
    射出成形機や押出機などの金型温調に必要な熱媒流体を回転軸に供給するために、DEUBLINの継手が用いられています。
  4. エネルギー分野
    風力発電機における油圧や電気信号の伝達用、太陽光や火力プラントにおける冷却用途など、再生可能エネルギーや発電関連にも応用されています。
  5. カスタムソリューション
    標準製品に加えて、ユーザーの特殊な要望に応えるカスタム設計も得意としており、自動車産業や航空宇宙分野向けの特殊ロータリーユニオンも手掛けています。

技術的特徴

DEUBLINの製品は、以下のような技術的強みを持っています。

  • 高精度シーリング技術:摩耗を抑えつつ漏れを最小化するカーボンシールやメカニカルシールを採用。
  • 高回転・高圧対応:工作機械分野では、数万rpmに達するスピンドル回転に追従可能なユニオンを提供。
  • メンテナンス性:ユニットの交換や修理が容易で、ダウンタイムを短縮。
  • 多様な流体対応:蒸気、油、冷却水、空気、真空など幅広い媒体に適合。

グローバル展開

DEUBLINは本社を米国イリノイ州に置きながら、ドイツ、イタリア、イギリス、日本、中国、インド、韓国など主要な工業国に子会社や販売拠点を展開しています。日本法人としては「デューブリン・ジャパン株式会社」があり、国内メーカーやエンドユーザーに対して製品供給・技術サポート・メンテナンスを行っています。

特にグローバル製紙機械メーカーや工作機械メーカーとは深い取引関係を持ち、OEM供給を通じて製造ラインに組み込まれているケースも多く、世界的な信頼を獲得しています。


近年の動向

近年、DEUBLIN社は環境負荷の低減とエネルギー効率の改善に重点を置いた製品開発を進めています。省エネ型のロータリーユニオンや、IoTを活用して稼働状態やシールの摩耗状況をモニタリングできる「スマートユニオン」も登場しつつあります。これにより、予知保全を可能にし、設備の稼働率向上に貢献しています。

また、2019年にはモーションコントロール製品の大手であるREXNORD(レックスノード)社に買収され、同社の一部門として活動しています。これにより、ベアリング、カップリング、コンベヤチェーンなどと並び、流体伝達機構の分野においても包括的なソリューションを提供できる体制が整いました。


まとめ

DEUBLIN社は、ロータリーユニオンという極めて専門性の高い製品に特化し、世界市場で圧倒的なシェアと信頼を獲得してきた企業です。1945年の創業以来、シール技術や高回転・高圧対応技術を磨き上げ、製紙・工作機械・エネルギー産業など幅広い分野を支え続けています。さらに近年はIoTや省エネといった新しい潮流にも対応し、REXNORDグループの一員としてグローバルな事業展開を強化しています。

その存在は「見えないが不可欠な技術」を体現しており、今後も世界の産業インフラを支えるキープレイヤーであり続けるといえるでしょう。

 

 

 

サプライチェーン情報

 

弊社の流通中古市場調査で、DEUBLIN製の製品・部品は約2,000種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。

 

上記のサプライチェーン情報は2025 10月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。

 

 

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