WALTHER ELECTRIC
WALTHER ELECTRIC社――低圧電力分配と産業用コネクタのドイツ老舗メーカー
1.会社概要
**WALTHER ELECTRIC(旧WALTHER-WERKE)**は、ドイツを拠点とする電気機器メーカーです。1897年にFerdinand Waltherがドイツ・ザクセン州のグリマ(Grimma)で創業したことから始まり、2026年現在で創業129年を迎える長い歴史を持っています。
現在の本社はドイツ西部のラインラント=プファルツ州、**Eisenberg(アイゼンベルク)**にあります。会社の中心的な事業領域は、低圧電力の分配、産業用コネクタ、CEEプラグ・ソケット、電力分配器、電気自動車(EV)用充電設備などです。
同社の現在の公式サイトでは、建設、産業、イベント、E-Mobilityの4分野を主要な事業領域として掲げています。世界70カ国以上に販売パートナーを持ち、ドイツ国内4拠点、欧州・米国の子会社などを含む国際的な事業体制を構築しています。公式プロフィールでは従業員数を600人超としています。
WALTHER ELECTRICという名称は比較的新しく、長年使用されてきたWALTHER-WERKEからブランド名称を変更したものです。したがって中古FA機器や古いカタログなどでは、現在の「WALTHER ELECTRIC」よりも「WALTHER-WERKE」の名前で見つかるケースがあります。
同社を理解するうえで重要なのは、「単なる電源プラグメーカー」ではないという点です。電源を設備へ送り、分配し、機械や装置へ接続するための電力インフラ全体を扱っているメーカーです。
2.歴史
WALTHERの歴史は1897年、Ferdinand
Waltherがグリマに小さな金属加工・錠前製造工場を設立したことから始まります。
当初は錠前や金属加工などを手作業で行っていましたが、20世紀初頭に電気が急速に普及すると、同社は電気関連製品へ事業を拡大しました。
1910年頃には工場を建設し、機械加工設備を導入。電気設備やプラグ、ソケットなどの製造へ進出しています。1930年代には従業員約1,300人、製品数約6,000点という規模に成長し、海外にも製品を販売していました。
第二次世界大戦後には大きな転機を迎えます。東ドイツ側にあった工場から事業を移し、1947年に西ドイツの**Bad
Reichenhall(バート・ライヘンハル)**で再出発しました。
そして1959年、Hans
KalthoffがWALTHER-WERKEを引き継ぎます。
ここから現在につながる重要な技術的転換が起こりました。
1960~1961年、同社はVDE関係者と協力して、当時のプラグ・ソケット規格を発展させる国際的な標準化提案を行いました。その結果生まれたのがCEE 17です。
この規格は現在のIEC 60309につながっています。WALTHER-WERKEは、この規格に基づく認証済みプラグ・ソケットを世界で先駆けて製造・販売した企業の一つとして知られています。
1970年には現在の本社所在地であるEisenbergへ移転しました。
その後、産業用コネクタ、CEEプラグ、ソケットコンビネーション、電力分配器などへ製品群を広げ、国際展開を進めます。
1990年代にはISO 9001認証を取得し、フランスや米国などにも販売拠点を展開しました。
2000年代には電力分配設備をさらに強化するとともに、2008年にはE-Mobility事業にも進出。近年ではデジタル化やインテリジェント電力分配にも力を入れています。
3.主力製品
WALTHER ELECTRICの製品は、大きく分けると以下のようになります。
CEEプラグ・ソケット
同社を代表する製品です。
CEEタイプの産業用プラグ・ソケットは、工場、建設現場、イベント会場、発電設備などで使用されます。
一般家庭用のコンセントとは異なり、比較的大きな電力を安全に供給できるように設計され、極数、電圧、電流容量、保護等級などによって多くの種類があります。
現在はNEO CEEシリーズなどを展開しており、IP54/IP67などの保護性能を持つ製品もあります。
産業用コネクタ
代表的なのがPROCONシリーズです。
機械設備の内部や制御盤などで、電源だけでなく信号やデータを接続するための産業用コネクタです。
FA機器では、モーター、センサー、制御装置、操作盤などを接続するために、多種多様なコネクタが使用されています。
ソケットコンビネーション
複数のコンセント、CEEソケット、ブレーカ、漏電保護装置などを一つのボックスにまとめた製品です。
工場や建設現場などで、電源を複数の機器へ安全に分配する目的で使用されます。
電力分配器
WALTHERは**Baustromverteiler(仮設電源分配器)**でも長い実績を持っています。
建設現場では、元となる電源からクレーン、溶接機、工具、照明などへ電力を分配する必要があります。
同社はこうした用途に対応する電力分配器を製造してきました。1940年代には、同社のAlfred
Boseckerが最初の建設用電力分配器を開発したとされています。
EV充電設備
近年重要性が増しているのがE-Mobilityです。
EV用充電設備、充電用コネクタ、電力分配、負荷管理などを製品・システムとして提供しています。
つまり、1897年創業の金属加工会社が、現在ではEV時代の電力インフラ企業へ進化しているわけです。
4.FAとの関係
WALTHER ELECTRICは、三菱電機、オムロン、シーメンスなどのようなPLCやサーボモーターを製造するFA制御機器メーカーとは少し性格が異なります。
しかし、FA設備において非常に重要な**「電力を機械へ届ける部分」**を担当しています。
例えば工場の自動化ラインでは、
受電設備
↓
分電盤
↓
電力分配器
↓
制御盤
↓
モーター・インバータ・ロボット
↓
各種センサー・アクチュエータ
という電気的な接続が必要です。
WALTHER ELECTRICは、この中でも特に電源の分配と機械・設備間の接続に関係します。
特にPROCONなどの産業用コネクタは、機械装置の電源・信号・データ接続に利用できます。
FA設備では、装置を移設したり、保守のために機械を切り離したりすることがあります。このような場合、コネクタによって接続・切断できる構造は非常に便利です。
したがってWALTHER ELECTRICは、FA業界では「制御そのもの」を担うメーカーというより、FA設備を動かすための電気的な接続・分配インフラを提供するメーカーと考えると分かりやすいでしょう。
5.型番の見方
WALTHER製品を中古市場で調査する場合、メーカー名だけでなく製品シリーズと仕様を確認することが重要です。
特にCEE製品では、
極数
定格電流
定格電圧
周波数
保護等級
取付方式
プラグ/ソケットの種類
ケーブル仕様
などが製品を特定する重要な情報になります。
また、WALTHERの産業用コネクタではPROCONというシリーズ名が重要です。
現在の製品群には、
NEO → CEE接続システム
PROCON → 産業用コネクタ
CNX → ソケットコンビネーション
BOS → 建設用電力分配器
RAY → CEEケーブル・延長ケーブル
などがあります。
ただし、中古品の場合は旧シリーズと現行シリーズが混在します。
そのため、型番だけを検索するのではなく、銘板写真、端子形状、極数、電流容量、電圧、外形寸法などを組み合わせて検索することが重要です。
6.中古市場・保守部品でのポイント
WALTHER ELECTRIC製品は、一般的な電子基板とは異なり、比較的長期間使用されることを前提とした電気機械部品が多いメーカーです。
そのため中古FA設備からWALTHER製品が出てきた場合には、まず「古いから使用不能」と判断するのではなく、現行製品との互換性を確認することが重要です。
特に注意したいのはコネクタやプラグの機械的な摩耗です。
電気的には正常でも、
接点の酸化
接触圧力の低下
ロック機構の摩耗
ケースの破損
ケーブル引き出し部の劣化
防水シールの劣化
端子の焼損
などが発生する可能性があります。
また、建設現場や工場などで使用される製品では、油、水、粉塵、振動、衝撃などの影響も受けます。
特に中古品を再販売する場合には、定格電圧・電流だけでなく、使用環境と保護等級まで確認することが重要です。
さらにWALTHERの場合、長い歴史があるため、古い製品については現在の製品と外観が似ていても、規格や内部構造が異なる可能性があります。
したがって中古FA機器の修理・保守では、銘板に記載された**WALTHER-WERKE、WALTHER ELECTRIC、製品シリーズ、Artikel-Nr.(製品番号)**などを記録しておくと、後の部品検索がかなり楽になります。
まとめ
WALTHER ELECTRICは、1897年創業という非常に長い歴史を持つドイツの電気機器メーカーです。
同社の大きな特徴は、PLCやインバータなどの「制御機器」ではなく、電力を安全に分配し、機械や設備へ接続するための製品に強いことです。
特に、
CEEプラグ・ソケット
産業用コネクタ
ソケットコンビネーション
電力分配器
EV充電設備
などが主要製品です。
なかでも1960年代のCEE規格への取り組みは同社の歴史を理解するうえで重要です。現在世界的に使用されているIEC 60309につながる規格形成に関わったことからも、単なる部品メーカーではなく、産業用電源接続の標準化にも関係してきた企業であることが分かります。
FAストレート・ジャーナルの中古FA機器という観点では、WALTHER
ELECTRICは「制御基板を修理するメーカー」というより、機械設備の電源・信号・データをつなぐコネクタと電力分配を支えるメーカーとして紹介すると分かりやすいでしょう。
なお、現在の正式なブランド名はWALTHER ELECTRICですが、古いFA設備ではWALTHER-WERKEの表記が残っている可能性があります。この2つを同じ企業の歴史的なブランドとして押さえておくことが、中古部品検索ではかなり重要なポイントです。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、WALTHER
ELECTRIC製の製品・部品は約5,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 09月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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