NATIONAL INSTRUMENTS
NATIONAL INSTRUMENTS社
― LabVIEWとPXIで自動計測を変えたNI
会社概要
**National Instruments Corporation(ナショナルインスツルメンツ、NI)**は、米国テキサス州オースティンを拠点として発展してきた、計測・試験・自動化システムの世界的なメーカーです。
NIを理解するうえで重要なのは、単純な「測定器メーカー」と考えないことです。NIは、コンピュータ、ソフトウェア、データ収集ボード、計測モジュールなどを組み合わせ、コンピュータを中心とした自動計測システムを構築することを得意としてきました。
現在のNIは、独立した上場企業ではありません。2023年10月11日に米国の大手オートメーション企業である**Emerson(エマソン)**による買収が完了し、現在はEmersonの「Test
& Measurement(テスト&計測)」事業として展開されています。買収時の企業価値は約82億ドルでした。
NIの代表的な製品・技術としては、グラフィカルプログラミング環境のLabVIEW、モジュール式計測プラットフォームのPXI、データ収集システムのDAQなどがあります。
歴史
NIの歴史は1976年に始まります。
創業者はJames Truchard、Jeff
Kodosky、Bill Nowlinの3人のエンジニアです。会社はテキサス州オースティンで、Truchard氏のガレージからスタートしました。
創業当初からの発想は非常にシンプルでした。
「測定器をコンピュータにつなぐ」
という考え方です。
当時の計測では、オシロスコープや電圧計などの測定器を人間が操作し、結果を人間が読み取るという方法が一般的でした。
しかし、コンピュータに測定器を接続できれば、測定、データ保存、計算、判定、レポート作成までを自動化できます。
NIはこの考え方を発展させ、単なる測定器ではなく、**「コンピュータ+ソフトウェア+計測ハードウェア」**というシステムとして計測技術を提供するようになりました。
その中心となったのがLabVIEWです。
LabVIEWは約40年にわたり、データ収集、計測器制御、自動化などの分野で広く使用されてきました。
その後、NIはPXIなどのモジュール式計測プラットフォームを発展させ、研究開発だけでなく、自動車、航空宇宙、通信、半導体、電子機器などの製造試験にも事業領域を広げていきました。
そして2023年、Emersonによる買収が完了します。
EmersonはNIを自社のオートメーション戦略に組み込み、NIの事業を「Test & Measurement」として展開しています。
主力製品
1.LabVIEW
NIを代表する製品がLabVIEWです。
LabVIEWは一般的なプログラミング言語とは少し違い、プログラムを「ブロック図」のように視覚的に構築します。
センサーからデータを取り込み、
「測定 → 演算 → 判定 → 保存 → グラフ表示」
といった処理を、視覚的に組み合わせることができます。
このため、計測器やセンサーを多数使用する試験装置との相性が非常に良く、研究所や工場の自動試験装置などで長年利用されてきました。
LabVIEWはNI製ハードウェアとの組み合わせだけでなく、さまざまな計測器や通信機器を制御するためにも利用されています。
2.PXI
もう一つの重要な製品群が**PXI(PCI
eXtensions for Instrumentation)**です。
PXIは、コンピュータのPCI技術をベースにしたモジュール式の計測システムです。
基本的には、
シャーシ+コントローラ+計測モジュール
という構成になります。
計測モジュールには、オシロスコープ、デジタルマルチメータ、信号発生器、スイッチ、DAQ、RF計測器など、さまざまな種類があります。
必要な機能だけをスロットに追加できるため、専用測定器を何台も並べる方法と比較して、複雑な自動試験システムを構築しやすいことが特徴です。
現在もNIはPXIを重要なテストプラットフォームとして展開しており、2026年にも新しいPXIハードウェアを発表しています。
3.DAQ
DAQは**Data Acquisition(データ収集)**の略です。
温度、圧力、電圧、電流、ひずみ、振動などのセンサー信号をコンピュータに取り込み、解析するための装置です。
例えば工場設備のモーターを試験する場合、
- 電圧
- 電流
- 回転数
- 振動
- 温度
などを同時に測定し、そのデータをコンピュータに取り込むことができます。
さらにLabVIEWを組み合わせれば、異常値を検出して自動的に「合格」「不合格」を判定することも可能です。
FAとの関係
NIはPLCメーカーとは少し性格が違います。
三菱電機、オムロン、キーエンス、シーメンスなどが、工場設備そのものを制御することを得意としているのに対し、NIは**「測る」「試験する」「解析する」**ことを得意としています。
そのためFAの中でも特に、
自動検査(ATE)
との関係が深い会社です。
例えば電子基板を100枚生産した場合、人間が1枚ずつ測定するのではなく、NIのDAQやPXIを使用して自動的に電圧・電流・信号などを測定し、規格内に入っているか判定できます。
さらにLabVIEWを組み合わせることで、
「製品をセットする」
↓
「測定開始」
↓
「複数の測定器を自動制御」
↓
「結果を解析」
↓
「OK/NG判定」
↓
「測定データを保存」
という一連の工程を自動化できます。
これはFAにおける検査工程の自動化そのものです。
特に自動車、航空宇宙、通信機器、半導体、電子部品など、製品の性能試験が重要な業界でNIの技術が利用されてきました。
型番の見方
NI製品は非常に製品数が多いため、中古品を扱う場合には型番の確認が重要です。
代表的な製品群としては、
- PXIシリーズ
- PXIeシリーズ
- PCI/PCIe DAQ
- USB DAQ
- CompactDAQ
- CompactRIO
- VXI関連製品
- LabVIEW関連ソフトウェア
などがあります。
特にPXIでは、単純に「NIのPXI」と考えるのではなく、シャーシ、コントローラ、計測モジュールを分けて考える必要があります。
例えば同じPXIシステムでも、シャーシが異なれば搭載可能なモジュールや通信性能が変わります。
また、PXIとPXIeも区別が必要です。
PXIeはPCI Expressを利用する規格で、より高速なデータ転送に対応しています。現在のNI製品を扱う場合には、PXIなのかPXIeなのかを確認することが重要です。
中古品の場合は、本体のラベルに記載された**「NI」「National
Instruments」「PXI」「PXIe」などの表記と型番を正確に確認する**ことが基本となります。
さらにNI製品では、ハードウェアだけでなく、使用するLabVIEWやドライバのバージョンとの互換性も重要です。
中古市場・保守部品でのポイント
NI製品は中古FA・産業機器市場でも比較的見つけやすいメーカーの一つです。
特にPXIシャーシ、DAQモジュール、各種I/Oモジュール、CompactRIO関連製品などは、中古市場で流通しています。
しかし、NI製品を中古で購入する場合、一般的なFA機器以上に注意したいポイントがあります。
第一は、ソフトウェアとの互換性です。
NI製品はハードウェア単体で完結する製品だけではありません。LabVIEW、ドライバ、TestStandなどとの組み合わせでシステムを構成している場合があります。
したがって中古のPXIモジュールを購入しても、既存システムのLabVIEWやドライバと互換性がなければ、そのまま使用できない可能性があります。
第二は、システム構成の確認です。
PXIの場合、モジュールだけでは動作しません。シャーシ、コントローラ、必要なソフトウェアなどを含めて考える必要があります。
第三は、長期使用による劣化です。
中古の計測機器では、電解コンデンサ、冷却ファン、コネクタ、リレー、スイッチなどの経年劣化に注意が必要です。
特に自動試験装置では、計測値そのものが製品の合否判定に使用されます。そのため「電源が入り、PCから認識する」だけでは十分ではありません。
電圧・電流・信号などの測定精度が維持されているかが非常に重要です。
中古NI製品を販売・修理する場合には、単なる動作確認だけでなく、可能であれば実測試験まで行うことが望ましいでしょう。
まとめ
National Instrumentsは、単なる測定器メーカーではありません。
NIが作り上げた最大の特徴は、
「コンピュータ、ソフトウェア、計測ハードウェアを一体化して、測定そのものを自動化する」
という考え方です。
その象徴がLabVIEWであり、ハードウェア面ではPXI、DAQ、CompactDAQ、CompactRIOなどが重要な製品群となっています。
FAの世界では、生産設備を直接動かすPLCとは違い、製品や設備を測定・試験・評価するためのFAを支える存在と言えるでしょう。
2023年にEmersonの傘下に入り、現在はTest
& Measurement事業として展開されています。EmersonはNIを買収することで、自社が得意としてきた産業オートメーションに、NIの計測・試験・ソフトウェア技術を組み合わせる方向を強めています。
中古FA市場の観点から見ると、NI製品は**「古いから価値がない」というタイプの製品ではありません**。
むしろ、長年使用されてきた自動試験設備では、既存のLabVIEWプログラムや試験システムとの互換性を維持するために、同じ型番のPXIモジュールやDAQを探す需要が発生します。
そのため中古市場では、型番だけでなく、対応するソフトウェア、ドライバ、PXI/PXIeの規格、システム構成まで確認することが重要です。
NIは、まさに「計測」と「FA」をソフトウェアで結び付けたメーカーであり、中古FA・産業機器を扱う上でも非常に興味深いメーカーと言えるでしょう。
![]()
サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、NATIONAL
INSTRUMENTS製の製品・部品は約3,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社・ブランドと種類数は以下のとおりです。
会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 09月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
コメント
コメントを投稿