CRYDOM
CRYDOM社とは?――ソリッドステートリレーの世界的メーカー
1.CRYDOM社の概要
CRYDOM(クライドム)は、産業用の**ソリッドステートリレー(Solid State Relay:SSR)**を中心に、半導体によるスイッチング製品を展開してきたメーカーです。
SSRとは、簡単に言えば、機械的な接点を持つ一般的な電磁リレーの代わりに、半導体素子を利用して電気回路をON/OFFするリレーです。
一般的なリレーでは、
「コイルに電流を流す → 電磁力で接点を動かす → 負荷をON/OFFする」
という動作をします。
これに対してSSRでは、
「入力信号 → 半導体回路 → 出力回路をON/OFF」
という構造になっています。
そのため、機械的な接点がなく、高速スイッチング、長寿命、低ノイズ化、省メンテナンスなどのメリットがあります。
CRYDOMは、このSSR分野で長年にわたって製品開発を行ってきたメーカーとして知られています。
現在、CrydomブランドはSensata Technologiesの産業用製品群の一つとなっています。SensataはCrydomのほか、センサー、スイッチ、保護デバイスなども扱うグローバルな産業技術企業です。
2.CRYDOMの歴史
CRYDOMの特徴は、長年にわたってソリッドステートスイッチング技術に特化してきたことです。
CRYDOMの製品資料では、SSR分野について「四十年以上」の経験を持つことが説明されており、標準品だけでなく、顧客仕様に合わせたカスタムSSRにも対応してきました。
長年SSRを扱ってきたことで、
- AC負荷の制御
- DC負荷の制御
- ヒーター制御
- 照明制御
- モーター制御
- 工業用機械
- 温度制御装置
など、さまざまな用途に製品を展開しています。
その後、CRYDOMはCustom Sensors & Technologies(CST)のブランドの一つとして事業を展開しました。
さらに2015年、Sensata
TechnologiesがCSTのセンシング関連ポートフォリオを取得し、その中にCrydom、Kavlico、BEI、Newallなどのブランドが含まれました。これにより、CrydomはSensataの事業領域に入ることになります。
現在では、製品資料やサポート情報などもSensataのブランドとして提供されています。
つまり中古部品を探す場合、
CRYDOM → CST → Sensata
という企業・ブランドの変遷を知っておくと、古い資料や後継品を調べるときに非常に役立ちます。
3.CRYDOMの主力製品「SSR」
CRYDOMを語るうえで外せないのが**ソリッドステートリレー(SSR)**です。
SSRはFA設備では非常に身近な部品です。
例えば、
- 温度調節器
- ヒーター
- オーブン
- 半導体製造装置
- 食品加工機械
- 包装機械
- 樹脂成形機
- 空調設備
- 照明設備
- モーター制御装置
などで使用されています。
CRYDOMでは、取り付け方法や用途に応じて、さまざまなシリーズを展開しています。
代表的なのがPanel Mountタイプです。
例えば「Series 1」はCRYDOMを代表するSSRシリーズの一つで、資料では10~125Aクラス、24~280VACまたは48~530VACなどの製品が掲載されています。
また、
- DINレール取付
- PCB取付
- プラグインタイプ
- 3相用
- DC出力タイプ
- AC出力タイプ
など、FA装置の設計に合わせた製品があります。
4.代表的な製品シリーズ
CRYDOMには非常に多くのシリーズがあります。
代表例を挙げると、以下のようになります。
Series 1
CRYDOMを代表するパネルマウント型SSRです。
比較的大きな電流を扱うことができ、産業用装置のヒーター制御などで使われます。
NOVA22シリーズ
比較的新しい世代のSSRシリーズで、DINレール取付タイプなどがあります。
NOVA22 DR22では、20A、30A、35Aクラスなどの製品があり、48~600VACなどの負荷に対応するモデルがあります。
NOVA22 3相シリーズ
3相負荷を制御するためのSSRです。
NOVA22 PM67やDR67などがあり、最大75A/phaseクラスの製品も用意されています。
CXシリーズ
比較的小型のSSRで、PCBへの組み込みなどにも利用できます。
資料では5Aクラス、12~280VACまたは48~660VACなどの製品が掲載されています。
MPシリーズ
さらに小型のSIPタイプSSRです。
小型制御基板などへの組み込みを意識した製品です。
EDシリーズ
プラグインタイプのSSRです。
DINレールやPCB用ソケットと組み合わせて使用できる製品があります。
このように、CRYDOMは「SSRなら何でも作る」というほど製品バリエーションが豊富なのが特徴です。
5.FA機器におけるCRYDOMの役割
FA設備では、PLCや温度調節器から出された信号によって、大きな電力を必要とするヒーターなどを制御することがあります。
例えば、
温度センサー
↓
温度調節器
↓
SSR
↓
ヒーター
という構成です。
温度調節器からSSRへON/OFF信号を送り、SSRがヒーターへの電力を制御します。
ここで機械式リレーを使用すると、頻繁なON/OFFによって接点が摩耗する可能性があります。
特にヒーター制御では、温度調整のために非常に頻繁なスイッチングが行われる場合があります。
SSRなら機械的な接点がないため、こうした用途に向いています。
そのためCRYDOMのSSRは、
「PLCそのものではないが、PLCや温度調節器と負荷の間をつなぐ重要な部品」
と考えると分かりやすいでしょう。
6.SSRを選ぶときの重要ポイント
中古品や交換部品としてCRYDOMを扱う場合、単純に「同じCRYDOMだから大丈夫」と考えるのは危険です。
最も重要なのは、入力側と出力側の仕様を確認することです。
例えば、
入力
- DC入力
- AC入力
- 入力電圧
- 制御電圧範囲
出力
- AC出力
- DC出力
- 最大負荷電流
- 最大負荷電圧
- 負荷の種類
などがあります。
さらに、
- ゼロクロス方式
- ランダムターンオン方式
- ヒートシンクの有無
- 1相/3相
- 取付方式
なども確認する必要があります。
特にSSRは、定格電流いっぱいで使用できるとは限らない点に注意が必要です。
半導体素子には発熱があるため、大電流を流す場合には放熱条件が重要になります。
7.CRYDOMの型番を見るときの注意
CRYDOM製品には非常に多くの型番があります。
例えば、資料には、
D2440D
や
CWD4890-10
などの型番があります。実際にSensataの製品資料でもD2440DはAC出力パネルマウントSSR、CWD4890-10は480VACクラスのパネルマウントSSRとして扱われています。
また、古い製品では、
- S1
- A12xx
- D12xx
- A24xx
- D24xx
- A48xx
- D48xx
- HA/HD
- CW
- H12
- H16W
- CX
- PF
- MP
- TA/TD
- CM
- CKR
など、さまざまなシリーズが存在します。Sensataの製品変更通知にもこれらのシリーズが記載されています。
ここで重要なのは、型番の一文字違いでも仕様が変わる場合があるということです。
したがって中古部品の販売では、
CRYDOM D24シリーズ
だけではなく、
CRYDOM D2440D
のように型番を最後まで確認することが重要です。
8.中古市場・保守部品としてのCRYDOM
CRYDOMのSSRは、FA設備の保守部品として比較的探しやすい部品の一つです。
理由は、SSRが消耗・故障する可能性があり、設備メーカー純正部品として組み込まれているケースも多いためです。
SSRの故障で特に注意したいのが、「常時ON」状態になる故障です。
SSR内部の半導体が故障すると、負荷がOFFにならなくなるケースがあります。
例えばヒーター制御の場合、
「温度調節器はOFFを指示しているのに、ヒーターが切れない」
という現象が起こる可能性があります。
そのため保守現場では、単純に「動作しない部品」だけでなく、
「ONしたままになったSSR」
も交換対象になります。
中古品を扱う場合には、
- 外観
- 端子の状態
- 型番
- 定格
- 入力仕様
- 出力仕様
- 製造時期
- 旧型/現行型
- 代替品の有無
などを確認するとよいでしょう。
9.CRYDOM製品を扱うときの「中古部品屋」目線
FA中古市場では、CRYDOMはなかなか面白いメーカーです。
SSRは見た目だけでは性能を判断しにくいため、型番そのものが商品価値を左右します。
例えば同じような外観でも、
「24~280VAC・25A」
と
「48~530VAC・90A」
では全く用途が違います。
さらに、3相用SSRや高電圧タイプ、小型PCBタイプなどになると、使用される設備も変わってきます。
そのため商品登録では、
メーカー名
CRYDOM
だけではなく、
メーカー名+シリーズ+型番+入力+出力+電流容量
まで情報を整理しておくと、検索性が大きく向上します。
また、現在はSensataブランドで製品情報が提供されているため、古いCRYDOM製品を調べる場合には、「CRYDOM」と「Sensata」の両方で検索することがポイントです。
10.まとめ――CRYDOMは「SSRの専門家」
CRYDOMは、FA業界では特にソリッドステートリレーのメーカーとして覚えておきたいブランドです。
機械式リレーと違い、SSRは半導体を利用するため、頻繁なON/OFFを行うFA設備のヒーター制御などで非常に重要な役割を果たします。
CRYDOMは長年にわたりSSR技術を蓄積し、パネルマウント、DINレール、PCB、プラグイン、単相、3相、AC出力、DC出力など、幅広い製品を展開してきました。現在のSensataの製品資料でも、Series 1、NOVA22、DPI、SeriesOne
DR、CX、MP、EDなど多様なSSR製品群が確認できます。
FAストレート・ジャーナルの視点で見ると、CRYDOMは、
「PLCから受け取った制御信号を、大きな電力を必要とするヒーターや機器へ伝える、半導体式のスイッチ」
と理解すると非常に分かりやすいメーカーです。
そして中古FA部品として扱う場合には、「CRYDOM」というメーカー名だけでなく、必ず型番まで確認することが重要です。
特に古い設備では、現在の製品体系とは異なる旧CRYDOM製品が使われている可能性があります。その場合でも、Sensataが公開している旧製品資料や製品変更情報を利用すれば、後継品や仕様を追跡できる場合があります。
つまりCRYDOMは、単なる「リレーメーカー」ではなく、長年にわたって半導体スイッチング技術を専門としてきた、FA保守部品としても重要なブランドと言えるでしょう。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、CRYDOM製の製品・部品は約5,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 09月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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