BELL&GOSSETT
BELL & GOSSETTは、FA機器そのものを製造する会社というより、建物の空調・暖房・給排水設備などに使われるポンプ、熱交換器、バルブ、流量制御機器などを製造する、米国の老舗流体機器ブランドです。現在は水・流体技術大手の**Xylem(ザイレム)**のブランドの一つとなっています。100年以上の歴史を持ち、特に「Hydronic(ハイドロニック)」と呼ばれる水を利用した空調・暖房システムでは非常に知名度の高いメーカーです。
BELL & GOSSETTとは
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BELL & GOSSETTは、1916年に米国イリノイ州シカゴで、W.C. BellとE.J. Gossettによって設立されました。
興味深いのは、最初からポンプメーカーだったわけではないことです。
創業時の主力製品は、金属加工などに使われる**浸炭・表面硬化用の化合物(case hardening compounds)**でした。その後、1918年には給湯器事業にも進出します。そこから水や熱を扱う技術を発展させ、最終的にはポンプ、バルブ、熱交換器などを中心とする企業へ成長していきました。
1930年には同社の歴史を大きく変えるブースターポンプを開発しました。これがBELL & GOSSETTのポンプメーカーとしての本格的な発展につながります。
つまり、
金属加工用材料 → 給湯設備 → ポンプ
→ HVAC・流体制御システム
という形で事業領域を広げてきた会社です。
1.現在はXylemのブランド
現在のBELL & GOSSETTを理解するうえで重要なのが、Xylemとの関係です。
BELL & GOSSETTは現在、独立した巨大企業という位置付けではなく、Xylem Inc.のブランドとして事業を展開しています。
Xylemは、水の「移動・処理・利用」に関係するポンプ、計測機器、制御機器などを世界規模で展開する企業です。
2011年、ITTから水関連事業が分離されてXylemが誕生した際、BELL & GOSSETTもXylemのブランドとなりました。
XylemにはBELL & GOSSETT以外にも水・流体関連のブランドがあり、B&Gはその中でも特に建築設備・HVAC分野を得意とするブランドと考えると分かりやすいでしょう。
2.何を作っている会社なのか
BELL & GOSSETTの製品を大きく分けると、次のようになります。
- ポンプ
- 循環ポンプ
- 遠心ポンプ
- インラインポンプ
- 多段ポンプ
- エンドサクションポンプ
- バルブ
- 流量調整機器
- エアセパレーター
- エア・ダートセパレーター
- 膨張タンク
- 熱交換器
- ポンプシステム
- 制御機器
- 給水・増圧システム
- ボイラー関連機器
- 排水ポンプ
日本法人のXylem Japanでも、BELL
& GOSSETTの製品として、ポンプ・循環ポンプ、HVACアクセサリー、熱交換器、流量バランシング製品などを紹介しています。
つまり単純に「ポンプだけを売る会社」ではありません。
ポンプを中心として、水・熱・空気・圧力・流量を一つのシステムとして制御するメーカー
と考えると、BELL & GOSSETTの特徴がよく分かります。
3.特に強いのが「Hydronic HVAC」
BELL & GOSSETTを理解するうえで、ぜひ覚えておきたい言葉があります。
それが、
Hydronic(ハイドロニック)
です。
これは簡単に言えば、水などの液体を熱媒体として利用する空調・暖房システムのことです。
例えば大きなビルでは、
ボイラー
↓
温水
↓
ポンプ
↓
配管
↓
各階の空調機
↓
熱交換
↓
戻り水
という循環が行われています。
逆に冷房の場合は、
冷凍機
↓
冷水
↓
ポンプ
↓
空調機
↓
熱交換
↓
戻り水
という流れになります。
この中で重要なのがポンプです。
ポンプの性能が悪ければ、必要な場所へ十分な水を送れません。
反対に必要以上の流量を送れば、ポンプの消費電力が増えてしまいます。
そのため、
「必要な流量を、必要な圧力で、できるだけ少ない電力で送る」
ことが非常に重要になります。
BELL & GOSSETTは、まさにこの分野を100年以上研究してきたメーカーなのです。
4.代表的なポンプ
BELL & GOSSETTには非常に多くのポンプがあります。
代表的なものとして、
e-1510X
があります。
これはエンドサクション型の遠心ポンプで、現在のB&Gを象徴する製品の一つです。
また、
e-80X / e-80SCX
や、
e-1531X / e-1532X
などのスマートポンプも展開されています。
これらの製品では、単純にモーターを回して一定速度でポンプを動かすのではなく、可変速制御や電子制御技術を組み合わせています。
これは現在の産業機器でも非常に重要な考え方です。
例えば、常に100%の能力でポンプを動かす必要がないのであれば、
100% → 80% → 60%
というように回転速度を調整することで、消費電力を削減できます。
特に大型ビルではポンプが長時間稼働するため、この省エネルギー効果は非常に大きくなります。
5.「ポンプ単体」から「システム」へ
BELL & GOSSETTの面白いところは、ポンプだけではなく周辺機器まで含めたシステムを扱っている点です。
例えばポンプの周辺には、
ポンプ
→ バルブ → 流量計測 → 空気分離 → 熱交換
→ 圧力制御 → 制御装置
など、さまざまな機器が必要になります。
B&Gはこれらを組み合わせたパッケージシステムも提供しています。
同社の資料では、可変速ポンプシステム、圧力ブースター、熱交換システムなどについて、ポンプだけでなく制御装置、バルブ、エアセパレーター、熱交換器、膨張タンクなどを組み合わせたシステムとして提供できることが説明されています。
これは設備エンジニアにとって大きなメリットがあります。
一つ一つの機器を別メーカーから購入して組み合わせるよりも、
「システムとして最適化されたものを選択できる」
からです。
6.流量を調整する技術
HVACシステムでは、単純にポンプを動かせばいいわけではありません。
例えば10階建てのビルで、
1階は大量の冷水が必要
5階は中程度
10階は少量
という場合、それぞれに必要な流量が違います。
そこで重要になるのが、
Flow Balancing(流量バランシング)
です。
BELL & GOSSETTは流量調整用のバルブや関連機器も製造しています。
これはFAの世界で言えば、単なる「モーター」ではなく、
モーター+インバーター+センサー+制御装置
まで含めてシステムとして考えるのに近い発想です。
7.歴史的な技術力
BELL & GOSSETTは、昔からポンプ技術の改良に積極的でした。
例えば1940年代には、
Series 1522
という機械式シールを採用したポンプを開発。
さらに、
Series 1531
などのエンドサクション型産業用ポンプも開発しました。
1943年には大型遠心ポンプの製造を開始しています。
1950年には、Remiteというセラミック系材料を利用したメカニカルシール技術も開発しました。
1960年代になると、
- Rolairtrol Air Separators
- Suction Diffusers
- Triple Duty Valves
- VSC Pumps
- Circuit Setters
など、現在のHVACシステムにつながるさまざまな製品を開発しています。
この歴史を見ると、BELL & GOSSETTは単なるポンプメーカーではなく、
「建物の中で水をどう動かすか」
という問題を長年研究してきた企業だということが分かります。
8.Little Red Schoolhouse
BELL & GOSSETTを語るとき、製品と同じくらい面白いのが、
Little Red Schoolhouse
です。
これはB&Gが1954年に始めた教育施設です。
ポンプやHVACシステムは、単にカタログを見て選べばいいわけではありません。
配管抵抗、流量、揚程、キャビテーション、熱負荷、圧力、ポンプ効率など、さまざまな知識が必要になります。
そこでB&Gは技術者、設計者、施工業者などに対して教育を行ってきました。
Xylemによれば、Little Red Schoolhouseではこれまでに6万人以上が教育を受けています。
これはB&Gの大きな特徴です。
「製品を売る」だけではなく、
「正しく設計・施工・保守できる人材を育てる」
ことまでメーカーの仕事として考えているわけです。
FA業界で例えるなら、メーカーがPLCやサーボモーターを販売するだけでなく、技術者向けの本格的なスクールまで運営しているようなものです。
9.省エネルギーへの取り組み
現在のBELL & GOSSETTにとって、非常に重要なのが省エネルギーです。
ビルの空調設備は大量の電力を消費します。
その中でポンプの消費電力を削減できれば、建物全体のエネルギー消費を大きく減らすことができます。
そのためB&Gでは、
- 高効率モーター
- 可変速制御
- 電子制御
- 高効率ポンプ
- システム全体の最適化
などに力を入れています。
現在の製品では、Xylemのhydrovar
Xなどのスマートモーター・ドライブ技術を組み合わせた製品も展開しています。
これはFA業界でいう、
インバーター+モーター+センサー+制御ソフトウェア
という方向と非常によく似ています。
10.データセンターにも進出
最近のBELL & GOSSETTを考えるうえで面白いのが、データセンターの冷却です。
AIやデータセンターでは、サーバーの高性能化によって発熱量が増えています。
従来の空冷だけではなく、
液体冷却
が重要になっています。
そこでBELL & GOSSETTが100年以上培ってきた、
水を循環させる技術
が活用できます。
Xylemは2026年にも、AIによってデータセンターのラック密度が高まる中で、ハイドロニック冷却やダイレクト・チップ冷却などの重要性を説明しています。
つまり、1916年に始まったB&Gの技術が、
現代のAIデータセンター
という全く新しい分野でも利用されようとしているわけです。
これは非常に興味深いところです。
11.FA・MROの視点から見たBELL & GOSSETT
FAやMROの仕事という観点からBELL
& GOSSETTを見ると、かなり重要なメーカーだと思います。
B&G製品は、
- ビル空調設備
- 工場
- ボイラー設備
- 冷却設備
- 冷凍設備
- 冷却塔
- 給排水設備
- データセンター
- 商業施設
- 大型建築物
などで使用されます。
つまり、製造ラインそのもののFA機器ではなくても、工場や建物を動かすためのユーティリティ設備に関係します。
FA工場では、
PLC
↓
サーボ
↓
コンベア
↓
ロボット
だけで設備が動いているわけではありません。
実際には、
冷却水・温水・空調・圧縮空気・給排水
などの設備が必要です。
その中でBELL & GOSSETTは、特に水・熱・空調系統を支えるメーカーです。
したがって中古品・余剰在庫・交換部品というMROの視点でも、B&Gの型番を知っておく価値があります。
12.BELL & GOSSETTの現在
現在のBELL & GOSSETTは、Xylemのブランドとして、
「高効率」「省エネルギー」「スマート化」「システム化」
を重視しています。
従来のポンプは、
「モーターを回して水を送る」
という機械でした。
しかし現在は、
ポンプ+モーター+インバーター+センサー+制御+通信
という方向に進んでいます。
これはFA業界とまったく同じ流れです。
昔のポンプが「機械」であったとすれば、現在のスマートポンプは、
「機械+電気+電子制御+ソフトウェア」
になっています。
まとめ
BELL & GOSSETTは、1916年に米国シカゴで創業した100年以上の歴史を持つ流体機器メーカーのブランドです。
現在はXylemのブランドとして、主に、
ポンプ
循環ポンプ
バルブ
熱交換器
流量制御機器
エアセパレーター
膨張タンク
制御機器
HVACシステム
などを展開しています。
特に強いのが、ビルや工場などで水を循環させて冷暖房を行うHydronic HVACです。
そして現在は、高効率ポンプや可変速制御、スマートポンプへと進化し、さらにAIデータセンターの液体冷却という新しい市場にも技術を広げています。
FA・MROの視点から見るなら、BELL
& GOSSETTは、
「建物や工場の水・熱・空調を動かすための、米国を代表する老舗ポンプ/HVACブランド」
と覚えておくとよいでしょう。
特にe-1510、e-80、e-1531、Series
100、Series 1522、Series
1531などのシリーズ名は、B&G製品を調べる際に重要なキーワードになります。
なお、B&Gは現在もXylemの公式ブランドとして展開されています。日本向けの製品情報もXylem Japanに掲載されています。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、BELL&GOSSETT製の製品・部品は約7,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社・ブランドと種類数は以下のとおりです。
会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 09月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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