CONVER
CONVER社とは――産業用電源を支えた米国の電源技術メーカー
1.CONVER社の概要
CONVER Corporation(コンバー・コーポレーション)は、米国で電源装置や電力変換機器を手掛けたメーカーです。
現在、一般の電子部品メーカーとしてCONVERの名前を目にする機会はそれほど多くありません。しかし、産業用電子機器や古いコンピューターシステム、計測機器、通信機器などを扱っていると、CONVER製の電源装置に出会うことがあります。
現在確認できる資料では、CONVERは特に、
- 電源装置
- スイッチング電源
- リニア電源
- 複数出力電源
- バッテリーチャージャー
- 電力変換機器
などを得意としていたメーカーです。
Jameco Electronicsのメーカー紹介では、CONVER
Corporationを「電力変換および電源ソリューションのメーカー」と説明しており、産業機器、通信機器、計測機器、組み込み電子機器など、安定した電源供給を必要とする用途に製品を提供していたとされています。
つまり、CONVERはモーターやPLCそのものを製造する会社というより、それらを含む電子システムを動かすための「電源」を専門としたメーカーと考えると分かりやすいでしょう。
2.CONVER社の特徴は「電源」にある
産業機器において電源は非常に重要です。
PLC、センサー、リレー、CPUボード、表示器、通信機器など、どれほど高性能な電子機器を使用していても、電源が安定しなければシステムは正常に動作しません。
特に古い産業機器では、
「電源が故障したため装置全体が動かない」
というケースが珍しくありません。
CONVERは、この電源部分を専門的に手掛けていました。
電源装置には大きく分けて、
AC → DC
の変換を行うものや、
DC → DC
の変換を行うものがあります。
さらに、電子回路では+5V、+12V、-12Vなど、複数の電圧を必要とする場合があります。
CONVERの製品には、こうした複数電圧を一つの電源ユニットから供給するタイプもありました。
3.代表的な製品「2001-1」
現在でも確認できるCONVER製品の一つに、2001-1という電源があります。
Jamecoの資料によれば、2001-1は3出力のリニア電源で、
- +4.8V DC:1A
- +12V DC:750mA
- -12V DC:800mA
という出力構成になっています。
入力は120/240VACに対応し、47~63Hzで使用できます。出力は5ピンコネクタを使用し、オープンフレーム型のPCB実装構造となっています。
この仕様を見ると、現代の一般的なACアダプターとはかなり性格が違います。
特に注目したいのが、
+12Vと-12V
を同時に出力できることです。
これはオペアンプなどのアナログ回路で非常に使いやすい構成です。
例えば、
+12V
0V
-12V
という電源を用意すると、アナログ信号を正負両方向に扱う回路を構成できます。
また、+5V系統はロジック回路に利用できます。
つまり一台の電源から、
アナログ回路+デジタル回路
の両方に電力を供給できるわけです。
これは古いコンピューター、計測装置、制御機器などでは非常に合理的な構成でした。
4.CONVER 6000シリーズ
CONVERの歴史を調べると、1970年代にはすでにかなり意欲的な電源製品を開発していたことが分かります。
1979年の米国誌「Digital Design」には、CONVER
6000 Seriesという多出力電源の広告が掲載されています。
この製品は、
マルチ出力電源
として設計されていました。
興味深いのは、単に複数の電圧を出すだけではなく、
- デジタル式リモート・マージン調整
- リモートON/OFF
- 電源投入シーケンス
- 異常チャンネルLED表示
- 規定電圧範囲外の警告
- 入力電源異常信号
- 電流制限信号
などを備えていたことです。
現在の産業用電源では当たり前になっているような機能ですが、1970年代の製品として見ると、かなり先進的な考え方です。
さらに、モジュール構造を採用しており、故障した場合には電源全体を交換するのではなく、故障したモジュールだけを交換できる設計思想が取り入れられていました。
これはFA機器の保守という観点から非常に重要です。
5.1970年代からスイッチング電源に注力
CONVERの歴史で特に面白いのが、スイッチング電源への取り組みです。
1979年の広告では、CONVERが「27Wのスイッチング電源」を製品化したことを強くアピールしています。
当時の電源装置では、リニア方式の電源も広く使用されていました。
リニア電源は構造が比較的分かりやすく、ノイズ面でも有利ですが、大きくて重くなりやすく、電力損失も大きくなります。
一方、スイッチング電源は、
小型化・軽量化・高効率化
を実現しやすいという特徴があります。
現在ではFA機器の制御盤でもスイッチング電源が一般的ですが、その背景には1970年代から1980年代にかけてのこうした技術革新があります。
CONVERは、その流れの中で比較的早い時期からスイッチング電源を製品化していたメーカーの一つだったと言えます。
6.CONVERと産業機器
CONVER製品は、一般家庭向けの電源というよりも、電子システムを構成するための電源という性格が強いメーカーでした。
そのため用途として考えられるのは、
- コンピューター
- 通信装置
- 計測機器
- 産業用制御装置
- 電子試験装置
- 組み込みシステム
などです。
JamecoもCONVER製品の用途として、産業機器、通信機器、計測機器、組み込み電子機器などを挙げています。
FA業界では、電源そのものが目立つことは少ないものの、実際には装置の生命線です。
例えばPLC制御盤であれば、
AC100/200V
↓
電源装置
↓
DC24V
↓
PLC・センサー・リレー・表示器
という構成になります。
古い装置では、DC24Vではなく5V、±12Vなどの電圧が必要なケースもあります。
CONVERのような電源メーカーは、まさにこうした電子機器の「裏方」を担当していたわけです。
7.現在でも中古市場で見つかるCONVER
CONVERについて、現在特に興味深いのは中古産業機器市場で製品が流通していることです。
例えば、産業用電子機器の修理・リビルドを行っているLektronixでは、CONVERの製品としてCPS-600を掲載しています。
CPS-600は、
600VA・12Vバッテリーチャージャー
として紹介されています。
また、同社ではCPS-600について、
- 修理
- 新品
- リビルド品
- 交換サービス
などを取り扱っています。
これはFA機器の保守という観点から非常に重要なポイントです。
メーカーの新製品だけを見ると、CONVERは現在あまり目立たない存在に見えます。
しかし、古い設備を維持するための交換部品という視点では、今でも価値があるメーカーなのです。
8.なぜ古いCONVER製品に価値があるのか
産業機械では、最新製品に交換すればすべて解決するとは限りません。
例えば20~30年前の工作機械や生産設備の場合、電源だけが故障してしまうことがあります。
その場合、
「電源が壊れたから装置全体を廃棄する」
というのは、非常にもったいない話です。
機械本体、モーター、PLC、センサー、メカ機構などが正常なら、電源を交換・修理することで再び使用できる可能性があります。
このため、
古い電源メーカーの製品情報を調べること
には大きな意味があります。
特に中古FA機器を扱う会社では、
「メーカー名」
「型番」
「入力電圧」
「出力電圧」
「出力電流」
「コネクタ」
「寸法」
などを調査することで、代替品や修理可能性を判断できます。
CONVERのようなメーカーは、この「古いけれどまだ使える産業電子機器」という市場と相性の良いメーカーだと言えるでしょう。
9.CONVER製品を調査するときの注意点
CONVERという名前には注意が必要です。
現在の検索では、同じ「Conver」という名前を持つ別会社が複数存在します。
例えばメキシコの**Convertidora Industrial(Conver)**は、プラスチックフィルムや軟包装、メタリックバルーンなどを製造する企業です。1979年創業で、現在も事業を行っています。
また、中国にはHefei Conver Holdingという別企業もあります。
したがって、FA部品のデータベースなどで単に「CONVER」と表示されている場合には、
「どのCONVERなのか」
を型番とセットで確認する必要があります。
今回取り上げたCONVER Corporationについては、電源装置の2001-1やCPS-600などが重要な手掛かりになります。
10.FA業界から見たCONVER社
CONVER社をFA業界の視点から評価すると、非常に興味深いメーカーです。
現在のFA業界では、
- 三菱電機
- オムロン
- 富士電機
- 安川電機
- Siemens
- Rockwell Automation
などの名前が目立ちます。
しかし、実際の装置はそれらの有名メーカーだけで構成されているわけではありません。
電源、リレー、コネクタ、ファン、トランス、ヒューズ、コンデンサ、インターフェースボードなど、非常に多くの専門メーカーの部品によって成り立っています。
CONVERはその中でも、
「電子機器に安定した電力を供給する」
という非常に重要な部分を担当したメーカーです。
特に1970年代の6000シリーズを見ると、単なる電源ではなく、リモート制御、異常監視、モジュール交換など、現在の産業用電源につながる考え方がすでに取り入れられていました。
まとめ
CONVER Corporationは、米国で電源装置・電力変換機器を開発していたメーカーです。
特に、
リニア電源
スイッチング電源
多出力電源
バッテリーチャージャー
などの製品を展開し、電子機器や産業機器、通信・計測システムなどを支える「電源の専門メーカー」として活動していました。
1979年の資料に登場するCONVER 6000 Seriesは、複数出力、リモートON/OFF、電源シーケンス、異常監視、モジュール交換などを備えており、当時としてはかなり先進的な設計思想を持っていました。
現在ではCONVERという企業名を目にする機会は減りましたが、CPS-600などの製品は中古・修理市場で確認できます。
FA機器の世界では、こうしたメーカーの存在を知っておくことが重要です。
「古い装置だから価値がない」のではなく、「古い装置だからこそ、その中に現在では入手しにくい部品が使われている」
ということがあります。
CONVERは、まさにそうした産業機器の歴史を支えた電源メーカーの一つとして見ることができるでしょう。
![]()
サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、CONVER製の製品・部品は約4,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 08月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
コメント
コメントを投稿