WIREMOLD
WIREMOLD(ワイヤモールド)は、配線ダクト・レースウェイ(配線保護配管)・電源供給システムの分野で非常に有名なアメリカ企業であり、現在はフランス系電設大手の Legrand
Group の主要ブランドの一つになっている。電気設備工事やオフィス配線、工場、学校、病院、商業施設などで、「壁を壊さず後から安全に配線したい」という要求に応える製品群で広く知られている。
特に有名なのは、金属製・樹脂製の「表面配線用レースウェイ」である。
簡単に言えば、
- 電線を保護する
- 配線を整理する
- 後付け工事を容易にする
- 見た目を整える
- 安全規格を満たす
ための“配線の通り道”を作る会社である。
一見地味だが、建築電気設備の現場では非常に重要な存在であり、「後付け配線の革命を起こした会社」と言ってもいい。
WIREMOLDの歴史は1900年にまで遡る。創業地はアメリカ・コネチカット州ハートフォードで、創業者は電気技師だった。20世紀初頭は、まだ建物の配線技術が発展途上であり、多くの建築物では露出配線が普通だった時代である。
しかし、
- 配線がむき出しで危険
- 見た目が悪い
- メンテナンスしづらい
- 火災リスクが高い
という問題があった。
そこでWIREMOLDは、「金属製の表面レースウェイ」を開発した。これは簡単に言えば、“電線を収納する金属の細長い箱”である。
現在では当たり前だが、当時としては非常に画期的だった。
特に重要だったのは、「壁を壊さなくても後から配線できる」という点である。
例えば古いビルで、
- コンセントを追加したい
- LAN配線を増やしたい
- 電話線を追加したい
- 制御配線を引きたい
場合、本来なら壁の中を工事する必要がある。しかしWIREMOLD製品を使えば、壁表面にレースウェイを取り付けるだけで安全な増設が可能になった。
これはオフィスビル時代の到来とともに大ヒットした。
特に1950〜1980年代、アメリカでは電話・コンピュータ・OA機器が急増した。その結果、
「建物完成後に大量の配線追加が必要」
という問題が発生した。
WIREMOLDはここで爆発的に伸びた。
オフィスの床や壁に後付けで電源や通信配線を通せるため、
- 銀行
- 官公庁
- 学校
- 病院
- 工場
- データセンター
などで採用が進んだ。
同社の主力製品には以下がある。
- 金属レースウェイ
- 樹脂レースウェイ
- 床用配線ダクト
- フロアボックス
- 電源タップシステム
- 柱型配線ポール
- 会議室用配線システム
- コンセントモジュール
- ケーブルマネジメント製品
- オフィス電源分配システム
特に「床配線システム」はWIREMOLDの代表技術の一つである。
巨大オフィスでは、机が頻繁に移動する。しかし床下配線が固定だとレイアウト変更が大変になる。
そこでWIREMOLDは、
- フリーアクセスフロア
- 床ダクト
- フロアボックス
を組み合わせた柔軟な電源供給システムを発展させた。
これは現代オフィス設計に大きな影響を与えた。
また、WIREMOLDは「建築デザインとの調和」にも強いこだわりを持っている。
昔の配線ダクトは「工場っぽい見た目」だった。しかしWIREMOLDは、
- 壁色に合わせる
- 角を丸くする
- 細型化する
- インテリアになじませる
など、美観を重視した。
つまり単なる電設部材ではなく、「建築空間の一部」として進化したのである。
これは特に高級オフィスやホテルで重要だった。
さらに近年では、IT化によって電源・通信・映像・ネットワーク配線が複雑化したため、WIREMOLDの価値はむしろ上がっている。
例えば会議室では、
- AC100V電源
- HDMI
- LAN
- USB
- AV制御
- PoE
など、多数の配線が必要になる。
WIREMOLDはこれらを一体管理するソリューションを提供している。
つまり同社は単なる「ダクトメーカー」から、
「建築内インフラ管理企業」
へ変化しているのである。
また、病院向けソリューションでも強い。
病院では、
- 清掃性
- 感染対策
- 配線安全性
- 医療機器増設
が重要になる。
そのためWIREMOLDは、医療施設向けに特殊なレースウェイや電源供給システムも展開している。
工場分野でも同様で、
- 制御配線
- 電力線
- 通信線
を安全に分離できる点が評価されている。
特に後付け自動化工事ではWIREMOLD系の表面配線は非常に便利である。
ユーザー視点で見ると、WIREMOLD製品は、
「とにかく施工が楽」
という評価が多い。
- カバー脱着が容易
- 加工しやすい
- 規格部品が豊富
- 拡張しやすい
- メンテしやすい
ため、電気工事業者からの支持が強い。
また安全規格への対応も非常に重要視しており、
- UL
- NEC
- CSA
など北米規格への適合性が高い。
アメリカの建築電設市場では、規格適合が非常に重視されるため、これは大きな強みになっている。
2000年にはLegrandグループ傘下となった。
Legrandは世界的な電設機器メーカーであり、
- スイッチ
- コンセント
- 配線器具
- データ配線
- 建築インフラ
などを広く手掛けている。
WIREMOLDはその中でも、「建物内配線インフラ」の中核ブランドとして位置づけられている。
面白いのは、WIREMOLD製品は一般消費者にはあまり知られていないことだ。
しかし実際には、
- オフィス
- 空港
- 病院
- 学校
- 商業施設
など、いたるところに存在している。
壁の端に走っている細長い金属配線ダクト、
床から出ている電源ポール、
会議室テーブルの電源ユニット。
それらの裏側にWIREMOLD技術が使われていることは非常に多い。
つまりWIREMOLDは、「建物の神経配線」を支える会社なのである。
電気そのものを作るわけではない。
派手な電子機器を売るわけでもない。
しかし、
「安全に、柔軟に、後からでも建物へ電気と情報を行き渡らせる」
という極めて重要な役割を担っている。
建築設備と情報インフラが融合する現代において、WIREMOLDはますます重要性を増している企業と言えるだろう。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、WIREMOLD製の製品・部品は約5,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 04月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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