TSR
TSR社
― コンパクトな電源変換技術で産業を支えるパワー・スペシャリスト
TSR社(Traco
PowerまたはTSRシリーズブランドとして知られる企業群) は、主に**スイッチング型DC-DCコンバータ(降圧型電源モジュール)**を中心とした電源ソリューションを提供するメーカーです。
「TSR」という製品名は“Traco Switching Regulator”の略で、リニアレギュレータ(LDO)の代替として使える高効率モジュールとして広く知られています。
TSRブランドを展開する中心企業はスイスに本社を置く Traco Electronic
AG(トラコ・エレクトロニック社) であり、グローバルでは「Traco Power」ブランドの一部として展開されています。
つまりTSR社(TSRブランド)は、小型・高効率・信頼性重視の電源変換モジュールを専門とする国際ブランドとして理解するのが正確です。
創業と背景
Traco Electronic AGは1944年にスイス・チューリッヒで創業し、当初はトランスや電子部品の供給を行っていました。その後、産業用機器・通信機器・医療装置などの発展とともに、より高信頼な電源モジュールの需要が高まったことを背景に、1970年代からDC-DCコンバータやAC-DC電源モジュールの開発に注力します。
2000年代に入り、低電圧電子機器の省電力化が進む中で、「3端子レギュレータ(7805など)」の置き換えを狙った革新的なシリーズとしてTSRシリーズを開発。このモジュールが世界的にヒットし、「TSR=スイッチング電源の代名詞」として定着しました。
その後、Traco PowerはこのTSRシリーズをブランド化し、独自のラインとして拡充。現在では、TSR 1、TSR
1A、TSR 2、TSR
3、TSRN、TSR-WIシリーズなど多様なラインアップを展開しています。
主要製品と技術的特徴
1. TSRシリーズ(DC-DC降圧コンバータ)
TSRシリーズは、3端子型リニアレギュレータ(例えばLM7805)とピン互換のスイッチング式レギュレータです。
主な特徴は以下の通りです。
- 効率:最大96%
LDO(線形レギュレータ)の約2倍以上の効率を誇り、発熱を大幅に低減します。 - ドロップアウト電圧が極めて低い
入力電圧と出力電圧の差が小さくても安定出力可能。 - ピン互換設計
既存の基板設計を変更せずにリニアレギュレータからの置き換えが可能。 - 低リップル出力(<20mVp-p)
高周波ノイズ対策が施されており、音響・センサ用途でも安定動作。 - 動作温度範囲:−40°C〜+85°C
厳しい環境でも動作可能な産業用グレード。
代表モデルとして、以下のようなラインアップがあります。
|
モデル名 |
出力電圧 |
出力電流 |
効率 |
特徴 |
|
TSR 1-2450 |
5V |
1A |
94% |
標準的モデル、7805代替 |
|
TSR 1A-2450 |
5V |
1A |
96% |
高効率版・軽負荷安定性向上 |
|
TSR 2-24120 |
12V |
2A |
92% |
大電流対応モデル |
|
TSRN 1-2450 |
5V |
1A |
95% |
ノイズ低減型(低EMI仕様) |
2. TSR-WIシリーズ(広入力電圧対応モデル)
工業設備や車載用途向けに設計されたTSR-WIシリーズは、4.5〜36VDCの広入力範囲に対応します。
これにより、24Vバス電源やバッテリ駆動機器などにも直接使用できる汎用性が確保されています。
3. TSR-EおよびTSR-3シリーズ
これらは大電力対応・コストパフォーマンス重視型の派生製品で、より高出力が求められるモーター制御やPLC内部電源などに採用されています。
TSRシリーズが支持される理由
1. リニアレギュレータからの置き換えが容易
多くのエンジニアが既存の7805や7812などを使ってきた背景から、ピン互換設計は非常に魅力的です。基板レイアウトを変更せずに高効率化が可能なため、開発コスト削減につながります。
2. 高効率・低発熱
発熱の少なさは装置の長寿命化に直結します。特に密閉筐体や小型機器で放熱が難しい設計において、TSRの導入は冷却設計の自由度を大きく広げます。
3. EMC対策設計
Traco Powerは欧州企業らしく、EMI/EMC規格を厳密に遵守しています。TSRNシリーズではEN55022 Class Bを単体でクリアしており、外部フィルタ不要で使用できる点が評価されています。
4. 高い信頼性と認証
すべての製品はISO 9001品質管理体制のもとで製造され、UL/EN/IEC 60950および62368規格に準拠。多くのモデルがRoHS・REACH対応で、長期供給にも対応しています。
主な用途と導入分野
TSRシリーズはその小型・高効率・信頼性から、以下のような幅広い分野で利用されています。
- FA(ファクトリーオートメーション)機器:PLC、I/Oボード、センサ電源
- 通信・ネットワーク機器:ルータ、制御基板、データ通信モジュール
- 医療機器:測定・監視用電子機器の内部電源
- 鉄道・交通システム:24Vバス電源からの安定降圧
- 民生・教育機器:評価ボード、組み込みシステム、Raspberry Pi周辺電源
- 宇宙・防衛試験機器:振動や温度変動に強いため試験用電源として採用例あり
特に、アナログ信号を扱う機器では、TSRNシリーズの低ノイズ特性が高く評価されています。
技術サポートと供給体制
Traco Powerは、スイス本社のほか、ドイツ・米国・アジア(シンガポール、香港など)に販売拠点を持ち、世界中で安定供給を実現しています。
日本では、マルツエレック、RSコンポーネンツ、Digi-Key、秋月電子通商などを通じて入手可能で、1個単位からの購入にも対応しています。
また、公式サイトでは各モデルのCADデータ、回路図、熱設計指針が公開されており、設計者が即座に組み込み設計に着手できるよう配慮されています。
近年の動向
近年、TSRシリーズはさらなる小型化と多出力化が進んでいます。特に注目されるのは以下の2点です。
- SMDタイプ(表面実装)モデルの開発
従来のスルーホール型に加え、SMD実装に対応したモデルが登場し、自動組立ラインへの対応が進んでいます。 - IoT・ロボティクス分野への応用
TSRの高効率・低発熱特性は、バッテリ駆動ロボットやセンサノードなどの省エネ設計に適しており、IoTモジュールの電源用途として採用例が増加しています。
また、欧州では再生可能エネルギー分野の制御装置用補助電源としての需要も拡大しており、グリーンエネルギー対応電源としての評価も高まっています。
まとめ
TSR社(またはTraco Power TSRブランド)は、
「小型・高効率・高信頼性の電源変換」という明確なコンセプトのもと、世界中の電子機器開発を支えてきた電源モジュール専門メーカーです。
リニアレギュレータの置き換えを実現したTSRシリーズは、放熱問題の解決・効率改善・省スペース設計に大きく貢献し、今日では組み込み電源の“定番”といえる存在になりました。
その堅実な品質とスイス発のエンジニアリング哲学は、今後も産業オートメーション、IoT、医療、ロボティクスといった成長分野で確実に活躍の場を広げていくでしょう。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、TSR製の製品・部品は約35,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2025年 03月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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