INVENSYS
■ 概要
インベンシス(Invensys plc)は、かつてイギリス・ロンドンに本社を置いていたグローバルな産業オートメーションおよび制御システムの大手企業です。産業プラント、エネルギー、輸送、ビルディング管理、家庭用機器まで幅広い分野に制御技術を提供していました。現在は2014年にフランスのシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)社に買収され、ブランドとしては「Invensys」は徐々に統合されていますが、その技術とブランド群は今も世界中で生き続けています。
■ 沿革と企業の成り立ち
インベンシスの歴史は、19世紀にまでさかのぼります。
ルーツとなるのは、**イギリスのFoxboro社(1908年創業)やEurotherm社(1965年創業)**など、制御機器・計測機器メーカーとして名高い複数の企業です。これらが1990年代後半から2000年代初頭にかけて次々と合併・統合され、最終的に「Invensys」という統一ブランドのもとで活動を始めました。
1999年、英国の電子・エンジニアリング企業「Siebe plc」と「BTR
plc」が合併し、Invensys plcが正式に誕生します。この合併は当時の英国産業界で最大級の規模であり、オートメーション分野の巨大コングロマリットが誕生した瞬間でした。
当初のインベンシスは、
- 産業制御(Industrial Automation)
- プロセス管理(Process Systems)
- 家庭用電化製品(Appliance Controls)
- 鉄道および交通システム(Rail Systems)
など、多岐にわたる事業を展開していました。
■ 主要ブランドと技術
Invensysの強みは、傘下に持つ有力ブランド群のシナジーです。中でも代表的なものを挙げます。
- Foxboro(フォックスボロ)
計測機器とプロセス制御の名門ブランド。圧力、流量、温度などの計測器や分散制御システム(DCS)で世界的に知られています。製油所や化学プラントなどで高い信頼性を誇りました。 - Wonderware(ワンダーウェア)
工場オートメーション向けソフトウェアを提供。HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)やSCADAシステムの分野で世界シェア上位。直感的な操作性と柔軟なデータ統合性が評価され、現在もシュナイダー傘下で利用されています。 - Eurotherm(ユーロサーム)
温度制御・プロセス制御機器メーカー。電子制御式のPIDコントローラやレコーダーを製造。食品、医薬、素材などの生産ラインで使われています。 - Triconex(トライコネックス)
安全計装システム(SIS)のトップブランド。石油化学・発電所などのプラントにおいて、安全系制御を担う「トリプルモジュラ冗長(TMR)」構成が特徴。高信頼性と安全性を両立した設計が評価されています。 - SimSci(シムサイ)
プロセスシミュレーションおよび最適化ソフトウェア。プラントの運転設計、オペレータ訓練、効率最適化などを支援するソフト群で、運転のデジタルツイン化を先駆けて実現しました。
これらのブランド群が連携し、Invensysはプラント全体の制御・監視・安全管理を一元的に提供できる世界でも稀有な企業となりました。
■ 経営の浮沈と再編
2000年代初頭、インベンシスは急速な拡大とITバブル崩壊の影響で、経営的に困難な時期を迎えました。複数の事業部門を売却し、コアビジネスを**「オートメーションと制御」に集中**する戦略に切り替えます。
この際、家電・建築関連の部門(Thermo King、Drayton、Appliance
Controlsなど)は売却され、FoxboroやWonderware、Triconexといった産業制御部門が中心となりました。
2004年頃からは、経営再建が進み、再び安定軌道に乗ります。2009年にはエネルギー効率化やプラント最適化の需要拡大を背景に業績を回復し、オートメーション業界での地位を確立しました。
■ シュナイダーエレクトリックによる買収
2013年、フランスの電力・オートメーション大手Schneider Electricが、インベンシスを約33億ポンド(約5000億円)で買収すると発表しました。この買収は2014年に完了し、Invensysはシュナイダーグループの一部として統合されます。
この統合により、
- FoxboroのDCSとSchneiderのPLCが連携
- WonderwareがEcoStruxure(シュナイダーのIoTプラットフォーム)に統合
- Triconexが安全系制御の中核技術として位置づけられる
など、両社の技術融合が進みました。結果として、シュナイダーはエネルギー管理からプラント制御までを統合した**「端から端までの制御ソリューション」**を提供できるようになったのです。
■ 現在のInvensysブランドの扱い
現在、「Invensys」という社名は公式には使用されていませんが、
その技術・製品群はシュナイダーエレクトリックの以下のブランドとして引き継がれています。
- Foxboro by Schneider Electric
- Triconex Safety Systems
- Wonderware / AVEVA System Platform(のちにAVEVAが買収し、現在はAVEVAブランド)
- Eurotherm by Schneider Electric
つまり、InvensysのDNAは現在のSchneider
Electric Industrial Automation事業部およびAVEVAのデジタルソリューション群の中にしっかりと生きています。
■ 技術的特徴と業界への貢献
Invensysは以下の点で業界をリードしました。
- 制御と情報の融合
WonderwareやSimSciを通じ、制御データとビジネス情報を統合する概念を先取り。いまの「IIoT(産業IoT)」や「デジタルツイン」につながる思想でした。 - 高信頼性安全制御
TriconexのTMR構成は世界標準となり、多くのプラント安全システムがこれを採用しました。 - オープンシステム志向
早期からEthernet通信やオープンプロトコルを採用し、異なるベンダー間の互換性を重視した設計思想を持っていました。 - 環境・エネルギー最適化
制御技術を通じてプラントの省エネやCO₂削減を推進し、サステナビリティに寄与しました。
■ まとめ
Invensys社は、
「制御の知能化と統合」を通じて、20世紀後半から21世紀初頭の産業オートメーションの進化を支えた企業です。
Foxboro、Triconex、Wonderwareなど、今も現場で息づく技術群は、プラントの安全、効率、そして人間中心の制御を実現する上で欠かせない存在となっています。
シュナイダーエレクトリックによる統合後も、インベンシスの理念「Powering the Intelligent
Plant(知能化プラントの実現)」は受け継がれ、現代のスマートファクトリーやIIoT時代の基盤技術として発展し続けています。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、INVENSYS製の製品・部品は約40,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社・ブランドと種類数は以下のとおりです。
EUROTHERM CONTROLS 6152
ROBERTSHAW 2627
ACTION INSTRUMENTS 382
CONTINENTAL INDUSTRIES 145
FOXBORO 2163
BARBER COLMAN 6629
SIEBE 197
PARAGON 302
EUROTHERM GAUGING SYSTEMS 4
CHESSELL 147
WONDERWARE 20
ECKHARDT 7
TURNBULL CONTROL SYS 141
TRANSPAK 6
上記のサプライチェーン情報は2025年 02月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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