TAC
■ 概要
TAC社(The Automation Company)は、もともとスウェーデンを拠点とするビルオートメーションおよび環境制御システムの専門企業として発展してきた企業です。正式名称は「TAC AB」とされ、後に「Schneider
Electric(シュナイダーエレクトリック)」グループの一員となりました。TACは、建物の省エネルギー化や快適性向上を目的とした自動制御システムの開発において、ヨーロッパを代表するパイオニア企業のひとつとして知られています。特にビルマネジメントシステム(BMS)やHVAC(空調・換気・冷暖房)の統合制御、照明・セキュリティシステムの自動化など、建物運用の効率化を支えるソリューション提供で世界的な地位を築きました。
■ 歴史と成り立ち
TAC社は、1920年代のスウェーデンにて創業されました。当初は、産業用制御機器や建物の温度調節装置などを手がける小規模企業でしたが、1950年代からは暖房・換気・空調分野(HVAC)の自動化に注力し、ヨーロッパ全土に販売網を拡大しました。1970年代以降、エネルギー価格の高騰や省エネ意識の高まりを背景に、**建築環境制御システム(Building Automation System:
BAS)**への需要が急速に拡大。TACは早くからマイクロプロセッサ制御技術を導入し、コンピュータベースの管理システムを開発しました。
1980年代には、自社ブランドのBMS「TAC
Vista」シリーズを発表。この製品は建物全体の設備を統合的に監視・制御できる画期的なシステムであり、ホテル、病院、大学、オフィスビルなど多様な施設に導入されました。ユーザーがグラフィカルな画面上でリアルタイムに空調・照明・エネルギー使用量を管理できる点が評価され、欧州を中心に急速に普及しました。
1990年代に入ると、TACは国際的な事業展開を強化し、北米市場やアジア市場にも進出します。特に1995年以降、米国企業との提携や買収を通じてグローバルネットワークを拡大しました。2000年代には、インターネット通信を利用した遠隔監視システムを実現し、クラウド型BMSの先駆けとなる技術を開発。ビル管理の「可視化」と「統合化」を同時に進め、デジタル化時代の基盤を築きました。
■ シュナイダーエレクトリックとの統合
2003年、フランスの電機大手シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric SA)は、エネルギーマネジメント戦略の一環としてTAC社を買収しました。この統合により、TACはシュナイダーの「Building
Systems」部門の中核企業となり、ブランドとしても「Schneider Electric Building
Systems」へと段階的に統合されていきました。
統合後も「TAC Vista」や「I/NET」など既存製品は継続販売され、世界各地の大規模施設に導入が進みました。やがてこれらの技術は、現在のシュナイダーのビルマネジメントプラットフォーム「EcoStruxure Building
Operation」シリーズへと進化していきます。
TACの持つ環境制御技術、建物運用データ解析、エネルギー最適化ノウハウは、シュナイダーが掲げる「持続可能なスマートシティ」の実現において不可欠な要素となり、今日でもそのDNAは継承されています。
■ 主な製品・技術
TACの製品群は、ハードウェア制御装置とソフトウェア管理システムを組み合わせた統合型アーキテクチャが特徴です。
- TAC Vista
TACの代表的なビル管理システム。建物内の温度・湿度・照明・セキュリティ・火災警報・エネルギー使用量などを統合管理するプラットフォームです。グラフィカルユーザーインターフェースにより、オペレーターが視覚的に監視・制御を行えます。 - Xentaシリーズ(制御コントローラ)
空調や照明などの制御を担うフィールドコントローラ群。LonWorks通信規格を採用し、分散型制御と高い柔軟性を実現しています。 - I/NET Seven
TACが米国で展開したビル制御システム。カードアクセスやセキュリティ監視機能を備えた施設向けソリューションで、TAC Vistaと統合して運用できる設計となっていました。 - SmartStruxure / EcoStruxure Building
TACの制御技術を引き継ぎ、IoT時代に対応したシュナイダーの次世代プラットフォーム。エネルギーデータをリアルタイムで収集し、AIを用いた運用最適化が可能となっています。
■ 技術的特徴と価値
TAC社のシステムは、オープン通信プロトコル(LonWorks、BACnetなど)への早期対応で知られています。これにより、他社製品との互換性を高め、設備のメーカーに依存しない柔軟な構築が可能になりました。また、エネルギー管理の分野では、センサー群やコントローラから取得するデータを解析し、建物のエネルギー効率を継続的に改善する「最適制御アルゴリズム」を実装。これが後の**ZEB(Net
Zero Energy Building)**構想にもつながる技術基盤となりました。
TACは単なる機器メーカーではなく、**「建物という生態系を管理する情報システム企業」**であったと言えます。
省エネと快適性、設備のライフサイクルコストの最適化をバランスさせる考え方は、後のスマートビルディング・スマートシティ概念に大きな影響を与えました。
■ 導入事例と実績
TACのシステムは、世界中の公共施設や商業ビル、大学、病院、データセンターなどで採用されました。特に北欧諸国では、政府庁舎や研究機関の省エネルギー化プロジェクトで標準システムとして採用される例が多くありました。
また、米国では空港やホテルチェーンでTAC I/NETシステムが導入され、セキュリティ・空調・アクセス管理を一体化した統合運用が実現しています。
■ 現在の位置づけ
今日、TACブランドは「Schneider
Electric Building Automation」内に統合され、名称としてはほとんど使用されなくなっています。しかし、TAC VistaやXentaシリーズを利用している施設は今も多く、メンテナンスやシステムアップグレードの分野でTACの名が残っています。
TACが築いた分散制御・統合監視・エネルギー最適化の設計思想は、現在の「EcoStruxure Building
Operation」や「Smart Building」技術の根幹を成しています。
■ まとめ
TAC社は、ビルオートメーションの歴史の中で非常に重要な存在です。
1920年代の創業から、アナログ制御からデジタル制御への移行期をリードし、オープン通信規格を採用して制御システムの相互運用性を高め、省エネルギーと快適性を両立する「インテリジェントビル」実現の道を切り開きました。
その技術と思想はシュナイダーエレクトリックに受け継がれ、現在も世界中の建物の中で息づいています。
TACの歴史は、まさに「エネルギーとテクノロジーが共存する環境制御の進化史」と言えるでしょう。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、TAC製の製品・部品は約37,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2025年 01月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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