BUD INDUSTRIES

 

BUD INDUSTRIES電子機器用エンクロージャの老舗メーカー

1BUD INDUSTRIESとは

**BUD Industries, Inc.(バッド・インダストリーズ)**は、米国オハイオ州ウィロビーに本社を置く、電子機器・電気機器用エンクロージャを専門とするメーカーである。1928年に創業され、2026年現在で約98年という非常に長い歴史を持つ。

現在のBUD INDUSTRIESは、電子機器を収納・保護する「箱」を中心に、プラスチック、アルミニウム、スチール、ステンレス、ダイキャストアルミニウムなどを使用した多種多様な製品を展開している。

同社の標準製品は2,500種類以上に及び、小型の電子工作用ケースから、産業用制御機器を収納する大型キャビネット、19インチラック、サーバーラックまで幅広い。さらに、IP65IP66IP67IP68NEMA規格に対応した防水・防塵タイプも数多く用意している。

BUD INDUSTRIESの特徴を一言で表すなら、

「電子機器を入れる箱を、長年にわたって専門的に作り続けている会社」

である。

一見すると単純な金属箱や樹脂箱に見えるが、産業機器ではエンクロージャが非常に重要な役割を果たす。内部の基板、電源、PLC、センサー、通信機器などを、衝撃、粉塵、水分、温度変化、電磁ノイズなどから保護しなければならないからである。


2.創業は1928

BUD INDUSTRIESの歴史は1928年に始まる。

創業者はMax Haas(マックス・ハース)。当時の社名は「Bud Radio」であった。

Max Haasはもともとラジオ関連製品の販売に携わっていた人物で、1928年にラジオの屋外アンテナを不要にする「Antenna Eliminator」という製品に着目し、その製造販売を始めた。

会社名の「Bud」は、Max Haasの息子の愛称から付けられたものだという。

その後、BUDはラジオ部品やHAM(アマチュア無線)関連製品へと事業を広げ、1932年にはアルミニウム製シャーシや小型プロジェクトボックスなど、現在のBUD INDUSTRIESにつながるエンクロージャ製品の製造を開始した。

この小型ケースは後に「Bud Box」と呼ばれるようになり、電子工作や試作の世界で広く知られる存在となった。

つまりBUD INDUSTRIESは、最初から「箱メーカー」だったわけではない。

ラジオ電子部品電子機器の筐体

という電子産業の発展とともに、現在のエンクロージャメーカーへ変化していったのである。


3.第二次世界大戦と産業用エンクロージャ

1940年代になると第二次世界大戦が始まり、BUDは米国政府向けの電子機器用ボックスなどの製造にも関わった。

電子機器は、単に内部の回路を作るだけでは完成しない。軍用無線機、通信装置、測定機器などでは、回路を収納し、機械的に保護する筐体が必要になる。

この時代に蓄積された金属加工やエンクロージャ製造の技術が、その後のBUDの発展につながっていった。

1959年には初期の溶接構造キャビネットラックである「Series 60」を発売。1960年代にはオハイオ州ウィロビーに大規模な製造施設を建設した。

さらに1964年には、宇宙開発関連でSpace Mission Control Center用のコンソールや宇宙飛行士用の携行ケースを製造したとBUD自身が記録している。

これはBUDが単なる小型電子ケースメーカーではなく、大型・特殊用途の電子機器筐体にも対応できるメーカーへ成長していたことを示している。


4.「世界初のパーソナルコンピューター」とBUD

BUD INDUSTRIESの歴史の中でも特に興味深いのが、初期のパーソナルコンピューターとの関係である。

1973年に登場したKenbak-1は、世界初期のパーソナルコンピューターの一つとして知られているが、その筐体にはBUDの「Grand Prix」シリーズのエンクロージャが使用された。

つまりBUDの製品は、コンピューター産業が始まった非常に早い時期から電子機器の筐体として利用されていたことになる。

現在ではPCやサーバーの筐体は専用メーカーが大量生産するのが普通だが、当時は電子機器そのものが新しい技術であり、それを収納するための標準的なケースも重要な部品だった。

BUDはこうした電子産業の黎明期から、筐体という分野で存在感を持っていた。


5.現在の主力製品

現在のBUD INDUSTRIESの製品は、大きく分けると以下のようなカテゴリーになる。

一般電子機器用エンクロージャ

最も基本的な製品群である。

アルミニウム、スチール、プラスチックなどを使用し、電子基板、電源、制御回路などを収納する。

代表的な用途としては、

  • 電子制御装置
  • 測定機器
  • センサー
  • 電源装置
  • 通信機器
  • 試験装置
  • FA機器
  • 組み込みコンピューター

などがある。

小型の手持ちケースから卓上型ケースまで、サイズや形状も豊富である。

NEMA/IP対応エンクロージャ

産業用途で特に重要なのが、防水・防塵性能を持つエンクロージャである。

BUDではIP65IP66IP67IP68NEMA 4NEMA 4XNEMA 6Pなどに対応する製品を展開している。

例えば工場内では、

粉塵+油+水+切削液+洗浄水

などが電子機器の故障原因になる。

そこでPLCI/O、電源、通信機器などを防水・防塵ケースに収納する。

FA設備では、このタイプのBUD製品が特に使いやすい。

DINレール用エンクロージャ

産業オートメーションではDINレールに機器を取り付ける方式が広く使われている。

BUDにもDINレール対応エンクロージャがあり、制御盤や分電盤、産業用通信機器などに利用できる。

PLCやリレー、電源、端子台などと組み合わせやすい点が特徴である。

ラック・キャビネット

BUDは小型ボックスだけではなく、大型のラックやキャビネットも製造している。

19インチラック、サーバーラック、ネットワークキャビネット、リレーラックなどが代表例である。

通信設備、ネットワーク機器、サーバー、測定機器などをまとめて収納する用途に使われる。


6.材料の豊富さも特徴

BUD INDUSTRIESの強みの一つが、用途に応じて材料を選べることである。

代表的には、

  • ABSなどのプラスチック
  • ポリカーボネート
  • アルミニウム
  • ダイキャストアルミニウム
  • スチール
  • ステンレス
  • ファイバーグラス

などがある。

例えば軽量化したい場合にはプラスチック、放熱性や強度を重視するならアルミニウム、頑丈さを重視するならスチール、腐食環境ではステンレス、といった使い分けが可能になる。

FA設備では、設置場所によってケース材料を選択することが非常に重要である。


7BUDの大きな武器「5-Day Modifications

BUD INDUSTRIESを理解するうえで重要なのが、標準品をそのまま販売するだけではなく、加工して出荷するサービスを提供していることである。

例えば、

「このケースにコネクタ用の穴を開けたい」

「表示器を取り付けるために角穴が欲しい」

「スイッチ用の穴を追加したい」

「ケーブルグランド用の穴を開けたい」

といった要求がある。

そこでBUDでは、標準エンクロージャに穴あけ、切り欠き、加工、印刷などを行う。

同社は、この加工サービスについて、在庫品であれば基本的な加工を5日間で行う「5-Day Modifications Program」を展開している。ロボット加工設備への投資によって、この短納期を実現しているという。

これはFA機器メーカーにとってかなり便利なサービスである。

筐体を購入してから自社工場で穴加工するより、メーカー側で必要な加工を済ませてもらえば、組立工数を減らすことができる。


8.カスタム製品にも対応

さらにBUDは完全なカスタムエンクロージャにも対応している。

サイズ変更、特殊形状、特殊仕上げ、アクセサリーの取り付け、穴加工、印刷などが可能で、プラスチック製品については専用金型を使用したカスタム製品にも対応している。

このため、

標準品標準品+加工完全カスタム品

という段階的な対応ができる。

これは装置メーカーにとって重要なポイントである。

試作段階では標準ケースを使用し、量産段階で専用筐体を開発する、といった使い方もできるからだ。


9FA・産業機器との関係

BUD INDUSTRIESの製品はFA業界との相性が非常に良い。

例えば工場の設備では、

PLC

I/O
ユニット

センサー

モーター・アクチュエータ

ネットワーク機器

など、多数の電子機器が使用される。

これらをむき出しで設置するわけにはいかない。

そのため、

「電子部品を正常に動作させるための外側の環境」

を作るエンクロージャが必要になる。

BUDはこの部分を専門にしている。

特に屋外設備、工場設備、通信設備、計測機器、再生可能エネルギー設備などでは、防水・防塵性能が重要になるため、IP/NEMA対応製品が活躍する。

同社自身も、産業オートメーション、通信、ネットワーク、データセンター、医療機器、試験・計測、セキュリティ、輸送、再生可能エネルギーなどを主要な用途として挙げている。


10.家族経営を続ける企業

BUD INDUSTRIESにはもう一つ特徴がある。

それは、長期間にわたってHaas家による家族経営が続いていることである。

創業者Max Haasから始まり、4代目となるJosiah Haas2015年に社長に就任した。

90周年の2018年の記事では、4代目まで同じ家族が経営を続けている企業は非常に少ないことが紹介されている。

現在もBUDは自社を「global supplierのリソースとfamily-owned businessの対応力を組み合わせた企業」と位置付けている。


11.現在のBUD INDUSTRIES

現在の本社は米国オハイオ州Willoughby、クリーブランド近郊にある。

同社によれば、製品の90%以上が同日出荷可能な在庫品であり、標準製品だけでも2,500種類以上を取り扱っている。

これはBUDの販売戦略をよく表している。

つまり、

「特殊な製品を少量だけ作る会社」

というより、

「非常に多くの標準エンクロージャを在庫し、必要なら短納期で加工して供給する会社」

なのである。

電子機器メーカーにとって、筐体は必要不可欠だが、筐体そのものを一から設計・製造するのは意外に手間がかかる。

そのため、BUDのような専門メーカーから既製品を選び、必要な部分だけ加工して使う方法には大きなメリットがある。


12.まとめ

BUD INDUSTRIESは、1928年にラジオ関連製品メーカーとしてスタートし、約1世紀にわたって電子産業の変化に対応してきた米国のエンクロージャ専門メーカーである。

小型の「Bud Box」から始まり、金属シャーシ、電子機器ケース、ダイキャストケース、プラスチックケース、防水・防塵エンクロージャ、DINレールケース、19インチラック、サーバーラック、産業用キャビネットへと製品を広げてきた。

特に現在のBUD INDUSTRIESを特徴づけているのは、

豊富な標準製品
IP/NEMA対応製品
金属・樹脂など豊富な材料
ラック・キャビネットまで対応
標準品への短納期加工
完全カスタムにも対応
長年培ったエンクロージャ設計・製造技術

である。

FAの視点から見ると、BUD INDUSTRIESは「電子部品そのもの」を作っている会社ではない。しかし、PLC、電源、通信機器、センサー、制御回路などを安全に、確実に、長期間使うための外装・保護構造を提供する重要なメーカーである。

特に、装置メーカーが「この基板をどのケースに入れようか」「屋外なので防水が必要だ」「DINレールに取り付けたい」「表示器やコネクタの穴を最初から加工してほしい」と考えたとき、BUD INDUSTRIESの製品は有力な選択肢になる。

100年にわたって「電子機器を入れる箱」という一見地味な分野を掘り下げながら、ラジオ、軍用電子機器、宇宙開発、コンピューター、通信、FAIoT、再生可能エネルギーへと市場の変化に対応してきた点が、BUD INDUSTRIESの最大の強みと言える。

電子機器が存在する限り、それを保護する「箱」も必要になる。

BUD INDUSTRIESは、その「箱」を専門技術として追求してきた、米国を代表する老舗エンクロージャメーカーの一つである。

 

 

 

サプライチェーン情報

 

弊社の流通中古市場調査で、BUD INDUSTRIES製の製品・部品は約4,000種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。

 

上記のサプライチェーン情報は2026 08月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。

 

 

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