ACM
ACM社――オーストリア発、飲料・醸造産業を支える光学式プロセス計測技術メーカー
1.ACM社とは
ACM社は、オーストリアのウィーンを拠点として、産業プロセスの自動化、計測データの収集・処理、そしてプロセスおよび研究室向けの計測システムを開発・製造している企業です。
正式名称は現在の公式サイト上では ACM Messtechnik
GmbH とされており、オーストリアのBrunn am Gebirgeにも法人所在地が登録されています。一方、会社の開発・生産・出荷部門を含む拠点としてウィーンが紹介されています。
ACMは1982年にエンジニアリング会社として設立されました。当初から「産業プロセスの自動化」「コンピュータを利用した計測データの取得・処理」「プロセス・研究室向け計測システム」を主要分野としており、その後、とりわけ飲料・醸造分野の計測技術に専門性を高めていきました。
現在のACMを一言で表すなら、
「飲料工場・ビール工場などで、製造途中の液体の状態を正確に測定する計測システムメーカー」
と言うことができます。
一般的なセンサーだけを販売する会社ではなく、センサー、表示器、制御装置、ソフトウェアなどを組み合わせ、製造工程の品質管理まで含めたシステムを提供していることが大きな特徴です。
2.ACMが特に強い分野――光学式計測
ACMの最大の特徴は、光学技術を利用した非接触・非破壊型の計測です。
飲料工場では、製造中の液体について、糖分濃度、密度、アルコール、炭酸ガスなどを常に管理する必要があります。
例えば清涼飲料水では、シロップなどの濃度が少し変化するだけでも製品品質に影響します。
ビールの場合も、
- 麦汁の濃度
- 発酵状態
- アルコール濃度
- 密度
- CO2濃度
などを管理する必要があります。
従来、このような分析にはサンプルを採取して研究室で測定する方法が使われることがありました。しかし、サンプルを採取してから分析する方式では、「今この瞬間の製造ラインが正常なのか」をリアルタイムに判断することが難しくなります。
そこで重要になるのがインライン計測です。
ACMは、製造ラインを流れている液体を直接測定するための計測機器を開発しています。
代表的なのが**プロセス屈折計(Process
Refractometer)**です。ACMは1995年からレーザーを利用した光学式計測技術に取り組んできたと説明しており、現在では光学式濃度計測を同社の重要な技術分野と位置付けています。
3.°BRIXを測定する屈折計
ACM製品の中でも重要なのが、LRシリーズのプロセス屈折計です。
代表的な製品として、
- LR.10
- LR.13
- LR.15
- LR.16
などがあります。
特にLR.13は、製造工程中の液体について**°BRIX(ブリックス)**を連続的に測定する用途に使用されます。
°BRIXは、簡単に言えば水溶液中の糖分濃度を表す指標です。
ジュース、清涼飲料、シロップなどでは非常に重要な数値になります。
例えば飲料製造ラインでシロップを混合している場合、濃度が設定値からずれると最終製品の味が変わってしまいます。
そこで屈折計を製造ラインに設置し、液体の濃度を連続的に監視します。
ACMの公式サイトでは、LR.13について、飲料製造工程における°BRIXの連続・高速・高精度測定に利用でき、原料の節約や品種切り替えなどにも利用できると説明しています。
つまり、単なる「測定器」ではなく、
品質を維持しながら原材料の使用量を減らすための装置
としても重要な役割を果たしています。
4.ビール工場で活躍するACM
ACMの技術が特に生かされるのが、ビールなどの醸造工程です。
ビール製造では、原料となる麦芽から糖分を含んだ麦汁を作り、発酵によってアルコールを生成します。
この工程では液体の濃度や密度が重要な管理項目になります。
ACMは、
- Density(密度)
- Original Wort(原麦汁)
- Alcohol(アルコール)
- °PLATO
- Extract(エキス)
- CO2
- O2
- Temperature(温度)
などの測定に対応する製品群を展開しています。
特に醸造業界では「°Plato(プラトー)」も重要です。
これは麦汁中の可溶性成分の濃度を表す指標で、ビール製造工程の管理に利用されます。
したがってACMの装置は、一般的な工場の温度センサーや圧力センサーとは違い、飲料そのものの品質を数値化する分析計として位置付けることができます。
5.QUATROLシリーズ――計測システムとしてのACM
ACMには、個々のセンサーだけでなく、複数の計測機器を組み合わせたシステムもあります。
代表的なのがQUATROLシリーズです。
製品ラインには、
- QUATROL.3000
- QUATROL.50B
- QUATROL.50S
などがあります。
こうしたシステムでは、単純に測定値を表示するだけではありません。
製造工程の測定データを管理し、品質保証のための情報として利用できるように設計されています。
例えばACMのTERM.200は、接続されたセンサーからの測定値を利用して、製品・生産データの長期記録、統計処理、グラフィック表示などを行うことができます。
さらに、飲料の充填工程を監視し、異常時には警告を出したり、充填工程を停止させたりする機能も備えています。
ここにACMのFAメーカーとしての側面があります。
単なる「測定器メーカー」ではなく、
センサー → 表示 → データ収集 → 判定 → 工程制御
までを一つのシステムとして構築できるわけです。
6.TERM.100/TERM.200
ACMのシステムを操作するための端末として、TERM.100とTERM.200があります。
TERM.100は比較的シンプルな表示・校正ユニットで、複数の測定器を接続することができます。
5台までのACMまたは他社製計測機器を接続でき、5.7インチのグラフィックディスプレイを備えています。
さらに4~20mA出力やアラーム出力、Profibus
DP、DeviceNet、Ethernet TCP/IPなどの通信機能にも対応しています。
この仕様を見ると、ACMの装置がFA・プロセスオートメーションの現場を意識して設計されていることが分かります。
特に4~20mAは工業用計測で非常によく使われる信号方式です。
PLCなどの制御システムと接続し、計測値を利用して設備を制御することができます。
7.TERM.200と品質管理
TERM.200はさらに高度な管理を可能にする操作端末です。
防水タッチパネルを備え、ステンレス製のIP67筐体を採用しています。また、24VDCまたは230VAC電源に対応しています。
食品工場や飲料工場では、水や洗浄液が機器にかかる環境があります。
そのため、一般的な事務用コンピュータではなく、防水性・耐環境性を考慮した産業用機器が必要になります。
さらにTERM.200では測定データをデータベースに保存し、長期間のデータを統計的・グラフィカルに分析することができます。
これは品質管理に非常に重要です。
例えば、ある飲料の製造ラインで毎日°BRIXを記録していけば、
「最近少し濃度が上昇している」
「特定の時間帯だけ濃度が変動する」
といった傾向を発見できる可能性があります。
つまりACMの計測システムは、単なる現在値の表示ではなく、製造工程そのものを見える化するシステムなのです。
8.CO2・O2・密度などの計測
ACMの製品群には、屈折計以外にもさまざまな分析機器があります。
例えばCarbosenso CO.20はCO2関連の計測、Oxysenso
OX.40は酸素関連、DM.30は密度計としてラインアップされています。
また研究室向けには、
- LAB.CO
- LAB.CO PET-KEG
- LAB.N2
- LAB.SHAKE
などがあります。
特に興味深いのがLAB.N2です。
これは閉じたPETボトル内の窒素を非破壊で測定するための装置で、ACMは特許取得済みの新しい測定方式として紹介しています。
このようにACMは、製造ラインだけでなく、研究室や品質検査部門にも製品を提供しています。
9.ACMの顧客
ACMの顧客は非常に特徴的です。
同社自身が、最終顧客を主として、
飲料産業、醸造業、食品産業
としていると説明しています。
つまり、オムロンや三菱電機のように幅広いFA市場を狙う総合FAメーカーとは違います。
ACMはむしろ、
「飲料・醸造という特定市場に深く入り込んだ専門メーカー」
です。
このような企業はFA業界では非常に面白い存在です。
市場規模そのものは総合FAメーカーより小さくても、対象となる製造工程について非常に高度な知識と技術を持っているため、簡単には他社へ置き換えられない場合があります。
10.世界市場への展開
ACMはオーストリア企業ですが、製品は世界各地で使用されています。
公式サイトでは、英国、北欧、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランド、チェコ、スロバキア、トルコ、イスラエル、インド、パキスタン、台湾、オーストラリア、中国などに販売パートナーや代理店網を展開しているとしています。
さらにOEM分野では、
- GEA
- KRONES
- KHS
- SPX-APV
- GEA TDS
- FAMIX
- INDAG
- Actemium
など、飲料・食品・プロセス産業に関係する企業が挙げられています。
このことからも、ACMが単純な計測器販売会社ではなく、飲料製造設備の中に組み込まれる計測技術を提供している会社であることが分かります。
11.ACMの技術的な強み
ACMの最大の強みは、「測定する対象」を明確に絞り込んでいることです。
一般的なセンサーメーカーなら、温度、圧力、流量、レベルなど、幅広い物理量を扱います。
それに対してACMは、
飲料や食品の製造工程で必要になる濃度・密度・アルコール・CO2・O2などの分析
に重点を置いています。
さらに光学式測定を利用することで、製造ラインを止めずに連続測定することを目指しています。
ACM自身も、将来の計測技術では研究室での検査から製造現場での検査へ移行し、最終的には人間の介入なしに製造工程へ測定を組み込む方向になると考えています。
これは現在のスマートファクトリーやインダストリー4.0の考え方とも非常に相性がよいものです。
12.FA業界から見たACM
FAという観点からACMを見ると、非常に興味深いメーカーです。
ACMの装置は、
センサー
↓
計測
↓
表示
↓
データ収集
↓
品質判定
↓
PLC・上位システムとの連携
↓
製造工程の制御
というプロセスオートメーションの一部を構成します。
特にTERM.100などが4~20mAやProfibus、DeviceNet、Ethernet
TCP/IPなどに対応していることから、既存のFA制御システムに組み込むことを強く意識していることが分かります。
その意味では、ACMは「飲料工場向けの分析計メーカー」であると同時に、プロセスFAの専門メーカーとも言えます。
13.まとめ
オーストリアのACMは、1982年にエンジニアリング会社としてスタートし、現在では飲料・醸造・食品産業向けの計測・自動化技術を専門とする企業へ発展しています。
同社の最大の特徴は、光学式技術を利用した非接触・非破壊型のプロセス計測です。
特にプロセス屈折計LRシリーズによる°BRIX測定は、飲料工場における原料管理や製品品質管理に重要な役割を果たします。
さらに密度、アルコール、CO2、O2、温度、麦汁濃度などを測定する機器を展開し、TERMシリーズやQUATROLシリーズによって、それらを製造工程の品質管理システムへ統合することができます。
ACMは、三菱電機やオムロンのような総合FAメーカーではありません。しかし、飲料・醸造という特定分野に深く入り込み、**「製造されている液体そのものを測定する」**という専門領域で独自の地位を築いている点が大きな特徴です。
FA機器の部品や設備を調べていると、こうした「小規模ながら非常に専門性の高いメーカー」に出会うことがあります。ACMはまさにそのタイプの企業であり、特に飲料工場や醸造設備、充填設備、プロセス制御装置に関わる場合には注目すべきメーカーです。
現在の公式サイトでは、ACMの製品群としてLRシリーズのプロセス屈折計、DM.30密度計、CO2・O2センサー、QUATROLシリーズ、TERMシリーズ、LAB.CO、LAB.N2などが確認できます。
**ACMを一言でまとめるなら、「飲料・醸造工場の液体を光学技術などでリアルタイムに分析し、そのデータを製造工程の自動化・品質管理につなげるオーストリアの計測技術メーカー」**です。
公式サイト:ACM Automation
Computertechnik Messsysteme
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、ACM製の製品・部品は約4,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 08月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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