EAE
1. 沿革・企業概要
EAE Group はトルコ・イスタンブールを拠点とする電気設備ソリューションのグローバル企業です。グループの起点となる会社(EAE Electric)が1973年に設立されたとされています。
本社所在地は、イスタンブールのエセンユルト地区(Akçaburgaz Mah., 3114. Sok., No:10
34522)にあります。
当初は配電用バスバー(busbar)システムに注力し、その後ケーブルトレイ・支持構造・照明システム・建築向け電気設備といった関連領域へと展開を図ってきました。
グループ構成としては、EAE Electric(1973年設立)、EAE
Lighting(1983年設立)、EAE Machinery(1996年設立)、EAE
Electrotechnics(2004年設立)、EAE Technology(2009年設立)、およびイタリア/ドイツ/米国/オーストラリア/フランス/Gulf/英国など多国での子会社・拠点があります。
製造拠点はトルコ国内に複数あり、例えばGebze(ジェブゼ)に工場を有し、合計生産面積が約 240,000 m² との記載もあります。
輸出実績も豊富で、世界150 か国以上に製品を供給しているとしています。
このように、EAEは「トルコ発・グローバル展開を図る電気設備ソリューションプロバイダー」と位置付けられます。
2. 企業理念・ビジョン
EAEの企業理念として、同社ウェブサイトでは「電気エネルギーの配分・分配を通じて、安全かつ効率的な電気インフラを世界に提供する」「持続可能な未来を構築するための電気技術」「建物・産業インフラ・データセンター・EV充電ステーションなど、電力・配電ソリューションにおけるパートナーとして機能する」といったメッセージが出ています。
特に、製品紹介の中では「ケーブル配線・配電方式としてのバスバー方式の利点」(設置時間の短縮、電力損失の低減、リユース可能性など)を強調しています。
また、R&D部門を持ち、国際基準・パテント・産業設計などにも注力しており、品質・信頼性・技術革新というキーワードも理念として確認できます。
こうした理念・ビジョンのもと、EAEは「世界中の建築・産業インフラに対し、電力分配系ソリューションを通じて付加価値を提供する」企業としての位置付けを確立しています。
3. 主力技術・製品群
EAEの技術・製品は多岐にわたりますが、特に以下の分野が重要です。
(1) バスバーシステム(Busbar Energy Distribution Systems)
- EAEが発足時から取り組んできたコア分野です。バスバーとは、複数の電線を用いずに、導体をモジュール化したトランキング形式で電力を運ぶ配電構造で、特に大電流・長距離配線・高層ビル・工場などに適しています。
- 製品仕様として、32 Aから6,300 Aまでの電流定格に対応するモジュールがあり、用途に応じて「銅/アルミ導体」「鋳造樹脂絶縁(cast-resin)」「プラグイン・ボルトオン形式」など多様な構成が用意されています。
- また、用途別のソリューション(データセンター、医療施設、EV充電ステーション、トンネル/地下施設、工場など)にも言及されており、BIM(Building Information
Modeling)対応など設計・施工支援も行っています。
(2) ケーブルトレイ・支持システム・トロリーバスバー等
- ケーブルトレイ(自動形成ラインによるロールフォーミング方式)や、天井や床下・設備配管支持用構造材など、電気設備に付随する物理的支持系も製造しています。
- トロリーバスバー(移動機械向け給電用レール)なども手がけ、産業用途の配電ソリューションとして幅を広げています。
(3) 照明・建築設備向けソリューション
- グループ子会社である EAE Lighting にて、エネルギー効率の高い産業・オフィス・店舗・街路照明などを供給しています。
- また、ビルオートメーション・スマートホーム・KNX/DALI
等の照明制御・建築設備連携ソリューションも、EAE Technology にて開発されています。
(4) ローカライズ製造・標準化対応
- EAEはISO 9001/14001/27001など各種品質・環境・情報セキュリティ管理を取得しており、国際的な製造・供給基盤を整えています。
- 標準製品カタログや技術資料も豊富で、設計者・施工者向けに仕様資料・デザインフォーム・価格表などを提供しています。例えば、E-Line KAM/KAPシリーズの製品カタログが公表されています。
4. 事業展開・ビジネスモデル
EAEの事業展開・ビジネスモデルは、主に以下のように整理できます。
製造から販売・設計支援までの一貫体制
- トルコ国内に複数の製造工場を持ち、グローバル向けに製造・出荷を行っています。
- 輸出先は150 か国以上に及び、海外子会社や販売拠点(イタリア、ドイツ、米国、オーストラリア、フランス、Gulf地域、英国など)を通じて地域ごとの販売・サポートを展開しています。
- 設計支援・技術コンサルティング・BIM対応・施工支援等も積極的に提供しており、単なる製品供給だけでなく「ソリューション提供型」のビジネスモデルを取っています。
ターゲット市場・用途
- ターゲット用途として、高層ビル、商業施設、工場・生産設備、データセンター、EV充電設備、地下トンネル・鉄道インフラ等が挙げられています。特にデータセンター・EVステーション・高電流配電が求められる用途での採用が強調されています。
- 必要電流が大きく、設置・メンテナンス効率が求められる環境において、ケーブル配線よりもバスバー方式の利点を訴求しています。例えば「短い設置時間」「再利用可能」「電力損失の低減」等です。
品質・規格・カスタマイズ対応
- 製品は国際規格(IEC 61439-1/6、IEC
62271-200など)に準拠し、CE認証・テストラボ(KEMA/CESI等)による評価を受けています。
- 標準品だけでなく、現場設計に応じたカスタムモジュール・特殊配電構成・プラグイン構造・中電圧用途(12 kV・17.5
kV)にも対応しています。
5. 強み・課題
強み
- グローバル生産・供給体制:トルコを拠点にしながら多国展開を図っており、輸出実績も豊富。
- 技術・製品の幅広さ:バスバー、ケーブルトレイ、支持構造、照明・建築設備といった電力/配電設備分野を幅広くカバー。
- ソリューション型ビジネス:製品供給だけでなく、設計支援・施工支援・BIM対応など、顧客のプロジェクトを包括的にサポート。
- 規格・品質対応力:国際規格適合・試験実績・豊富なカタログ・カスタマイズ対応など、信頼性を備えている。
課題・注意点
- ブランド・知名度:日本国内における導入実績・知名度は、地場の大手配電機器メーカーなどと比較するとまだ限定的かもしれません。
- 国内サポート体制:海外拠点中心であるため、日本現地での対応・保守・施工支援体制の整備状況が導入前に確認が必要です。
- 競争環境:配電/電力設備分野では多くの国内外メーカーが参入しており、コスト・納期・技術対応・施工体制が差別化ポイントになります。
- ニーズの変化対応:例えばデータセンター/EV充電/産業インフラにおける“電力密度向上・省スペース化・コスト圧縮”など、顧客ニーズの進化に迅速に応える必要があります。
6. 今後の展望
EAEが今後どのように展開していくか、以下の点が注目されます。
高成長分野への対応
- EV(電気自動車)充電インフラ、高電流配電データセンター、大型商業施設・物流施設など、電力分配ソリューションの需要が増加しており、EAEのバスバー〝大電流・高効率配電”技術が適合する可能性があります。
- 中電圧(12 kV/17.5
kV)用途のバスバーシステムも展開されており、石油・ガス・化学プラントなど重電産業向けにも伸びしろがあります。
グローバル展開強化・地域拠点拡大
- 既に欧州・米国・豪州・中東に子会社/拠点を構えており、市場ローカル化(サポート体制・物流・販売ネットワーク)をさらに強化することで、地域別展開を加速できるでしょう。
- 日本市場でも、設計エンジニア向けに技術資料・施工サポート・パートナー企業との協業を強化すれば、存在感を高められそうです。
製品・サービスの深化
- BIMやスマート建築ソリューション、IoT連携・施工自動化・メンテナンス支援など、単なる配電部材供給から「設備のライフサイクル最適化」への展開が考えられます。
- 環境・カーボンニュートラルが求められる昨今、低損失バスバー、再利用可能構造、設置効率を高めた配電システムへの注力も競争優位となるでしょう。
7. まとめ
EAE Group は、1973年にトルコで設立された電気配電設備ソリューション企業であり、バスバーシステムを中心としながらケーブルトレイ・支持構造・照明設備・建築設備制御といった関連分野に広く展開しています。世界150 か国以上への輸出実績をもち、グローバルな製造・販売体制・技術・ソリューション力を備えています。
その強みは「大電流・高効率配電」「施工・設計支援・BIM対応」「グローバル供給体制」にあります。一方で、国内(日本)での知名度・サポート体制・競争環境などの点では慎重な対応が求められるかもしれません。
今後、EV充電インフラやデータセンター、産業大型施設の配電ニーズの高まりを背景に、EAEがその技術・ソリューションをどう活かすかが鍵となるでしょう。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、
EAE製の製品・部品は約28,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2025年 10月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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