LEGRAND

 

1. 概要・企業ミッション

Legrand S.A.(以下「Legrand」)は、フランス・リモージュ(Limoges)を拠点とする世界規模の電気・デジタル建築インフラストラクチャ専門企業です。
同社のコーポレートミッションは「人々が暮らし・働き・出会う空間を、シンプルで革新的かつ持続可能な電気およびデジタルインフラによって変革し、生活を向上させること」です。
2024
年時点では、売上高約86 億ユーロ、従業員数約38千人という規模を誇ります。
Legrand
は、住宅、商業施設、産業施設、データセンターといったあらゆる建築・設備空間を対象に、「配線・スイッチ・ソケット・ケーブル管理・バスウェイ(busway)・デジタル連携ソリューション」等を提供しています。

2. 沿革・歴史

Legrand のルーツは19世紀末から20世紀初頭に遡ります。

  • 元々は陶器・磁器製造を手がけており、磁器が電気絶縁材として有用だったことから、20世紀初頭に電気機器製造へ転換が始まりました。
  • 1904年を起点に、陶器から電気機器へと事業をシフトし、スイッチ・ソケットや配線機器等の製造に注力したことで、現在の建築向け電気・デジタルインフラ事業につながっています。
  • 上場企業としては、2006年にユーロネクスト・パリに再上場し、2011年にはフランス株価指数「CAC 40」の銘柄にも採用されました。
  • 近年では、IoT(モノのインターネット)やデータセンター向けインフラ、エネルギー効率・デジタル化を軸に、積極的なM&Aによるグローバル展開を進めています。

3. 事業ポートフォリオとソリューション

Legrandの事業は大きく以下の3つの軸で捉えることができます。

(1) 住宅・商業施設向け電気機器

伝統的には、スイッチ・コンセント(ソケット)・配線器具・配線ダクト等を住宅・オフィス・商業施設向けに提供しています。例えば、「美観・安全・機能性」を兼ね備えたスイッチシリーズ、配線・ケーブルマネジメントソリューションなどが典型です。

(2) 商業・産業施設・デジタル建築インフラ

近年、商業施設・産業用途・データセンター等での電力・通信・配線・冷却・監視といった「建物をデジタル化・高効率化」するためのインフラストラクチャの需要が高まっています。Legrandはバスウェイ(高電流導体システム)、電力分配装置、無停電電源装置(UPS)、モジュラーボード、ラック・ケーブルマネジメント、アクセス制御・セキュリティシステムなどを展開しています。
特にデータセンターに関しては、売上の中でも成長ドライバーとなっており、AI・クラウド・ビッグデータの普及でその重要性が増しています。

(3) コネクテッド/IoT/サステナビリティソリューション

Legrandは「Eliot(エリオット)プログラム」と呼ばれる自社IoT戦略を推進。これは建築設備をスマート化することで、エネルギー効率向上、モニタリング、自動制御を可能にするものです。
また、電気設備を通じた脱炭素、建築物の省エネ・長寿命化、リサイクル・サーキュラーエコノミーの推進など、持続可能性(サステナビリティ)を重視しています。

4. 市場ポジションおよび成長ドライバー

Legrandの強み・成長要因を整理します。

  • グローバル展開と多数ブランド
    世界90か国以上で事業を展開し、約170180か国で製品を流通させています。
    製品群は30万点以上に及び、住宅・商業・産業・デジタルインフラ用途を網羅しています。
  • M&Aと技術革新
    成長戦略として、新興分野・成長領域(データセンター、コネクテッド機器、エネルギー効率)に対してブランド買収・技術買収・組織内開発を活発に展開しています。
  • 建築・設備のデジタル化・電動化トレンド
    世界的に、建築物の省エネ化、スマートビル・スマートホーム化、EV(電気自動車)充電インフラ、データセンター需要という潮流があり、これらはLegrandの提供価値と直結しています。例えば、2025年発表ではデータセンター向け強化が売上を牽引。
  • 持続可能性・社会責任
    環境規制・住まい・働く場の安全・健康が重視されるなか、LegrandCSR(企業の社会的責任)活動・サステナブル製品設計を前面に打ち出しています。

5. 組織・財務・文化

  • 経営トップには2018年以降、CEOBenoît Coquart 氏が就任。
  • 財務面では、売上高の伸びと収益性の改善が見られ、調整後営業利益率(マージン)も20%台を維持しています。
  • 組織文化としては「顧客中心」「イノベーション重視」「グローバル&ローカル」の両立が掲げられています。社員多様性・働き方改革・学習環境も重視されており、グローバルな雇用ブランドとして認知されています。
  • サステナビリティに関しても、20252027年のロードマップを公表し、従業員・サプライチェーン・製品ライフサイクル全体を俯瞰した責任ある経営を目指しています。

6. 日本・アジア市場での位置づけ

日本・アジアのユーザー・調達担当者・技術者から見て、Legrandには以下のような注目点があります。

  • 住宅・オフィス分野の製品供給力
    日本国内でもスイッチ・コンセント、配線器具、スマートホーム関連機器(IoTスイッチ・コンセント連携)において、Legrandブランドまたは関連ブランド製品が流通しており、品質・ブランド信頼性という面で選択肢になり得ます。
  • データセンター・ICTインフラ需要
    日本でも大規模データセンター建設・5GAIサーバー用途が増加傾向にあり、Legrandのバスウェイや電力分配・ラックケーブルマネジメント等のソリューションは、こうした用途での供給先/部材選定先として注目されます。
  • 耐震・省エネ・環境規制・法令対応
    日本の建築・設備市場では、地震対策・省エネルギー法・ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)などの規制が強化されており、こうした対応において信頼性のある製品群を展開するLegrandの強みが活きます。
  • グローバル調達・保守支援ネットワーク
    海外展開している日本企業や、グローバルサプライチェーンを持つ日本メーカーにとって、Legrandのグローバル展開力・調達体制・アフターサービス網はメリットとなる可能性があります。
  • 注意すべき点
    ・建築・設備市場が地域により景気・需要サイクルの影響を受けやすい点。実際、欧州建設市場の停滞がLegrandの業績に影響したという報道もあります。
    ・製品・サービス範囲が幅広いため、仕様・規格・ローカル法令・調達条件の確認(日本国内仕様・電気安全法・PSE認証等)が必須です。

7. 強み・課題

強み

  • 圧倒的な製品ラインナップ・ブランド数とグローバル展開力
  • 建築インフラというネバーアウト市場(電気・配線・通信)を基盤としつつ、成長分野(データセンター、スマートビル、再エネ・EV充電など)に移行しつつある点
  • 技術革新・買収戦略により成長ポートフォリオを確立しており、収益性・規模・ブランド力の三拍子を備えている

課題

  • 建築・設備市場では景気変動・金利・建築投資停滞の影響を受けやすい。例えば欧州の建設鈍化がLegrandの一部地域売上に影響を与えています。
  • 急速に変化するデジタル/IoT領域では、新規参入者・テクノロジーの陳腐化リスク・競争の激化が存在します。
  • 仕様・規格・地域認証(特にアジア・日本)を含むローカル対応が、グローバルメーカーとしては常に調達・販売上のハードルとなります。

8. 最近の動向と展望

  • 2025年上半期の発表によれば、Legrandの売上は前年同期比+15 %(為替影響除く)を記録し、調整後営業マージンは21.0%に達しました。
  • また、データセンター関連の成長が顕著であり、AI/クラウド需要の拡大とともにインフラ機器への投資が加速していることが、同社にとっての追い風です。
  • 20252030年の中期戦略において、持続可能性(脱炭素・省エネ・サーキュラーエコノミー)を前提に、「住宅・商業・デジタルインフラ」の全てにおいてスマート化”“コネクテッド化を進め、成長機会を捉えようとしています。
  • ただし、世界的な建築投資の停滞・素材・部材価格・物流コストの上昇など、マクロ的な逆風もあり、リスク管理も重要です。

9. まとめ

Legrandは、電気・デジタル建築インフラという社会インフラの根幹を支える企業でありながら、スマートビル、IoT、データセンターといった未来志向の領域に積極的に投資・展開しています。住宅や商業施設での従来用途のみならず、デジタル化・脱炭素化・電動化の潮流を捉えており、日本・アジア市場でも非常に関心の高いプレイヤーです。

日本の技術者・調達担当者・設備設計者から見ると、

  • 信頼性・グローバル調達・豊富な製品群という点で「安心して使えるブランド」
  • 将来視点で「スマート建築」「デジタルインフラ」「高効率設備」へ準備するサプライヤーとしての魅力
  • ただし、仕様・ローカル法規・コスト・タイミングなどは慎重な検討が必要

 

 

 

サプライチェーン情報

 

弊社の流通中古市場調査で、LEGRAND製の製品・部品は約26,000種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。

 

上記のサプライチェーン情報は2025 02月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。

 

 

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