MERLIN GERIN
MERLIN GERIN(メルラン・ジェラン)社とは
Merlin Gerin は、1920年にフランス・グルノーブルで創業された電力配電機器メーカーであり、20世紀を代表する低圧・高圧電気機器ブランドの一つです。現在は Schneider
Electric グループの一員となっており、かつてのMERLIN GERINブランド製品の多くはSchneider
Electricブランドへ統合されています。
日本の制御盤や配電盤の保守業務に携わる人であれば、「Compact」「Masterpact」「Multi
9」といった製品名を目にしたことがあるかもしれません。これらはいずれもMERLIN GERINが開発した代表的な製品シリーズです。
創業の背景
MERLIN GERINは1920年、技術者のポール=ルイ・メルラン(Paul-Louis Merlin)とガストン・ジェラン(Gaston Gerin)によって設立されました。
当時のヨーロッパでは電力インフラの整備が急速に進んでおり、安全に電力を遮断できる高性能な遮断器への需要が高まっていました。創業者たちはこの分野に着目し、高圧油入遮断器の開発・製造を開始しました。
創業翌年の1921年には、高圧機器の安全試験を行うための「Volta研究所」を設立し、当時としては極めて先進的な試験設備を整備しました。1930年代には800kV級の試験も実施できるレベルに達していました。
技術革新の歴史
MERLIN GERINの成長を支えた最大の要因は、継続的な技術革新でした。
1937年には油遮断器より安全性の高い空気遮断器(Pneumatic Circuit Breaker)を開発しました。これは当時の電力業界に大きな影響を与えました。
1946年には10,000A・15,000Vの短絡電流を遮断できる遮断器を開発し、戦後の電力インフラ復興に貢献しました。
1950年代には低圧配電市場へ本格参入し、「Compact」シリーズを発売しました。Compactは現在でも世界中の配電盤で採用されるモールドケース遮断器(MCCB)の先駆けとして知られています。
さらに1970年代には住宅・ビル向け保護機器として「Multi 9」シリーズを発表しました。
Multi 9は、
- 配線用遮断器(MCB)
- 漏電遮断器(RCCB)
- サージ保護装置
- 補助接点
などをモジュール化し、DINレールへ簡単に取り付けられる構造を採用しました。
現在の分電盤や制御盤で当たり前になっているモジュール式保護機器の概念を確立した製品として高く評価されています。
代表製品
1. Compactシリーズ
Compactは低圧配電用モールドケース遮断器です。
特徴は、
- 高い遮断容量
- コンパクト設計
- 優れた保守性
- 豊富なトリップユニット
でした。
現在のSchneider Electric製「Compact
NSX」の祖先にあたります。
2. Masterpactシリーズ
1986年に登場したMasterpactは、800A~6300Aクラスの気中遮断器(ACB)です。
大型工場や発電設備で採用され、
- 高い信頼性
- 引出形構造
- 保護機能の高度化
- 通信機能との連携
などで世界的な評価を獲得しました。
今日でもMasterpactシリーズはSchneider
Electricの主力製品として継続しています。
3. Multi 9シリーズ
住宅・ビル向け保護機器として世界的に成功したシリーズです。
現在のActi9シリーズの直接の祖先であり、
- 過電流保護
- 漏電保護
- 雷サージ保護
を統合的に提供できるシステムでした。
Schneider Electricとの関係
MERLIN GERINは1970年代からSchneiderグループとの関係を深め、1975年にはSchneiderが資本参加しました。最終的に1992年、完全にSchneiderグループへ統合されました。
当時のSchneider Electricは、
- MERLIN GERIN(配電)
- Telemecanique(制御機器)
- Square D(北米配電機器)
という三大ブランド戦略を進めていました。
その後2009年頃までにブランド統合が進み、MERLIN GERINブランドは順次Schneider Electricブランドへ移行しました。
FA(Factory Automation)分野での位置付け
MERLIN GERINはPLCメーカーではありません。
しかしFA設備において極めて重要な、
- 配線用遮断器(MCCB)
- 気中遮断器(ACB)
- 漏電遮断器(ELCB)
- 保護リレー
- 電力量計
- 電力監視システム
を供給してきました。
制御盤の中を見ると、
- PLC:TelemecaniqueやModicon
- 電源:Schneider Electric
- 遮断器:Merlin Gerin
という組み合わせが欧州では長年の標準構成でした。
特にIEC規格ベースの設備では、MERLIN GERIN製品は世界中で採用されてきました。
現在の評価
MERLIN GERINという会社名は表舞台からほぼ消えていますが、その技術は現在のSchneider Electric製品群に受け継がれています。
特に、
- Compact
- Masterpact
- Acti9
- Power Monitoring System
などの製品にはMERLIN GERIN時代の設計思想が色濃く残っています。
電気保護機器の歴史を語る上で、MERLIN GERINは世界の配電技術を発展させた最重要企業の一つと言えるでしょう。創業時の従業員38名から、買収時には約34,000名規模へ成長し、売上の半数以上を海外市場で達成するグローバル企業となりました。
制御盤や受配電設備の保守をしていると、今でも「MERLIN GERIN」のロゴが入った遮断器に出会うことがあります。それらは単なる古い部品ではなく、現代の電力保護技術の礎を築いた名機として高く評価されている製品なのです。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、MERLIN
GERIN製の製品・部品は約4,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 06月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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