AVAGO BROADCOM
1. Broadcomの起源
― HPから始まった会社
Broadcomのルーツは1960年代の Hewlett-Packard にまでさかのぼる。
当時のHPは、測定器メーカーとして有名だったが、内部では半導体デバイスの研究開発も積極的に行っていた。
この半導体部門は後に独立し、1999年に Agilent Technologies の一部となる。
さらに2005年、Agilentの半導体部門が投資会社に売却され、新会社「Avago Technologies」が誕生した。
つまりAvagoとは、もともとHP系の技術資産を受け継いだ企業だったのである。
2. Broadcom Corporationとの統合
一方、別系統で急成長していたのが、1991年設立の Broadcom Corporation である。
このBroadcom Corporationは、
- Ethernet
- Wi-Fi
- Bluetooth
- 通信ASIC
- ケーブルモデムIC
など、通信半導体で巨大な成功を収めた会社だった。
特に、
- ネットワークスイッチ
- ルーター
- スマホ向け通信IC
では世界トップクラスの存在となった。
2015年、Avago TechnologiesはBroadcom
Corporationを約370億ドルで買収する。
そして2016年、会社名を「Broadcom」に変更した。
つまり現在のBroadcomは、
「AvagoがBroadcomを買収し、Broadcomブランドを名乗った会社」
なのである。
このため株式コードは今でも “AVGO” が使われている。
3. Broadcom最大の特徴 ― “買収で巨大化した半導体帝国”
Broadcom最大の特徴は、単なる半導体メーカーではなく、
「超攻撃的M&A企業」
であることだ。
同社は非常に多くの企業を買収して巨大化してきた。
代表例として、
- LSI
- Emulex
- Brocade
- CA Technologies
- Symantec Enterprise
- VMware
などがある。
特に近年最大の話題は、2023年の VMware 買収である。
これによりBroadcomは、
「半導体メーカー」
から、
「インフラソフトウェア企業を併せ持つ巨大IT企業」
へ変貌した。
4. Broadcomの主力事業
現在のBroadcomは大きく分けると、
① 半導体事業
② インフラソフトウェア事業
の二本柱になっている。
5. 半導体事業
Broadcomの半導体は、一般消費者には見えにくいが、世界中のインフラを支えている。
代表的なのは、
■ ネットワークIC
データセンター向けの高速通信チップである。
AI時代になると、
- GPU
- AIアクセラレータ
- サーバー
同士を超高速接続する必要がある。
その通信部分をBroadcomが強く握っている。
■ Wi-Fi / Bluetooth
スマホ、ルーター、IoT機器向け通信ICでも非常に強い。
昔のiPhoneにもBroadcom系通信ICが大量採用されていた。
■ 光通信部品
AIデータセンターでは、
- 光トランシーバ
- 光DSP
- 高速光通信
が重要になる。
Broadcomはここでも強い。
AIサーバーは電力も熱も凄まじいため、銅配線だけでは限界があり、光通信技術が極めて重要になる。
■ ASIC(カスタムAIチップ)
最近特に注目されているのがここ。
BroadcomはNVIDIAのような汎用GPUメーカーではなく、
「顧客専用AIチップ」
を設計するビジネスに強い。
Googleや巨大クラウド企業向けに、
- AI推論チップ
- AIアクセラレータ
- 高速スイッチASIC
などを提供しているとされる。
6. ソフトウェア企業への変貌
昔のBroadcomは完全に半導体企業だった。
しかし現在は、
- 仮想化
- クラウド管理
- セキュリティ
- メインフレーム運用
なども巨大事業になっている。
特にVMware買収は衝撃的だった。
VMwareは企業サーバー仮想化の世界的標準企業であり、
「企業ITインフラの根幹」
を握っていた。
Broadcomはこれを取り込むことで、
- ハードウェア
- ネットワーク
- ソフトウェア
- 仮想化基盤
を一体で提供できる企業になった。
7. Broadcomの経営スタイル
BroadcomのCEOとして有名なのが、 Hock Tan である。
彼の経営は非常に特徴的で、
- 利益率重視
- 徹底したコスト管理
- 高収益事業へ集中
- 不採算事業は切り捨て
というスタイルで知られる。
そのため業界では、
「極めて強力だが、かなり厳しい経営会社」
という印象を持たれることも多い。
買収後の組織再編や人員整理も積極的である。
8. AI時代のBroadcom
現在Broadcomが世界市場で注目されている最大理由は、
「AIインフラ需要」
である。
世間ではAIというと、
- NVIDIA
- OpenAI
- ChatGPT
などが目立つ。
しかし実際にはAIデータセンターには、
- 超高速ネットワーク
- 光通信
- ASIC
- スイッチIC
が必要になる。
Broadcomはまさにそこを握っている。
つまり、
「AI工場の配線・通信・接続部分」
の超重要企業なのだ。
このため近年、Broadcomは時価総額が急増し、世界有数の巨大IT企業になっている。
9. 日本の現場でのBroadcom / Avago
日本では今でも、
- AVAGO
- AVAGO Technologies
- Broadcom Avago
という表記が部品表やBOMに残っていることが多い。
特に、
- フォトカプラ
- 光通信部品
- RFデバイス
- エンコーダ
- ASIC
- LED関連
ではAvagoブランドを見かけることがある。
古い装置の修理や部品調査をしていると、
「AVAGOの型番だけど、実際はBroadcom系」
というケースがかなり多い。
MROや修理現場では、まさに“名前の変遷”を知っているかどうかが調査速度に直結する会社でもある。
10. まとめ
Broadcom Inc. は、
- HP由来の半導体技術
- AvagoのM&A戦略
- Broadcom通信技術
- VMwareのソフトウェア基盤
を融合した、極めて巨大なテクノロジー企業である。
特徴を一言で言えば、
「通信・AIインフラを支える黒子の帝王」
と言える。
一般消費者には見えにくいが、
- スマホ
- データセンター
- AI
- クラウド
- ネットワーク
の裏側で、Broadcom製品は非常に高い存在感を持っている。
特に今後のAI時代では、
「GPUそのもの」だけでなく、
「GPU同士をどうつなぐか」
が極めて重要になるため、Broadcomの重要性はさらに増すと見られている。
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サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、AVAGO
BROADCOM製の製品・部品は約4,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認できませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2026年 05月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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